第2話 俺の彼女は隠すことが下手なのである
俺は今日図書館に来ている。理由としてはもちろん俺の彼女である京香ちゃんが中間試験でオール赤点にしたからである。ちなみに俺の学校は40点以下が赤点になってしまう。まだギリギリなのならなんとかなりそうだが、国語以外の教科が二十点すらいかない。さらに英語と理科に関しては0点をとるといった何日かけても間に合わない気がするほど壊滅級。だから俺らのデート先は図書館で勉強となっている。
「とりあえず社会でもやるか」
社会は俺が一番得意な歴史分野だった。だから教えるのも得意である。
「社会なら得意です。あれですよね。織田さん魔王とか。あとは真田幸村と伊達政宗がライバル関係であるとか」
うーんなーんかこの話聞いてるだけでも1つアニメが浮かんでいる。たしかに歴系のアニメも見ているから歴史はできなくはないのだろう。ただ、本当の話と異なるところだけを覚えているからテストでは通用しないんだが。
「戦国時代は後。次のテストは鎌倉時代から安土桃山時代あたりだから」
彼女のテストを見た感じ平安時代末期あたりまでは終わってるらしい。だいたいの進み具合的に源から織田前までと予想できる。
「かまくらって冬作る奴ですか?」
「その時点で違うから」
これは歴史が苦手な人ならよくある回答の仕方だし大目に見よう。
「鎌倉時代は、源頼朝が気付いた鎌倉幕府がの時代」
「これなんて読むんですか」
教科書で指をさしたのは今読んだ源頼朝だった。
「みなもとのよりともだよ」
「みなもとって、もしかして義経の知り合いなんですか?」
さすがに義経は知っていたか。
「義経の兄だね。よく義経知ってたね」
「そりゃげー、・・・・なんとなく覚えてました」
ゲームで出てきたっていいたいのかな。彼女はおそらく戦国が舞台とされたゲームを2種類やったことあるらしい。無双のほうなら義経出てた気がするし。
「ジャー義経知っていることだし、義経から線引いていこう」
これはあくまで自己流なのだが、一人の人物を視点として起こったことやかかわった人物などで線を結んで何をしたか、どういう関係だったかまとめている。こうすることで別々だと思えた教科書の内容がまとまる。それで、一人が終わったらその人物と結んである人物をまとめることで一人一人でかんがえることもなくなり、テストではある程度点を取ることができる。
「えーとここが協定」
「違う違う。そこは敵関係」
さっそく平清盛と源義経を結んで協定と書いている。
「え、でも清盛と義経って共闘しますよね」
それはゲームの話で実際は最後まで敵だったんだよなー。やりずれー。アニメとか興味ないようにしてるからそのたぐいの話に持っていけないのが。
「うーんしないかな」
「そんなー。がっかり。私使い手だっ・・・・なんでもないです」
うまく隠してるようだけど全く隠せていない。まーおれもこの状況での彼女はかわいいと思ってるし別に構わないのだが。それにしてももう30分か。流石に全然進まないなー。これは歴史は後回しというより、俺がまとめたの渡して説明したほうが早いな。
「とりあえず休憩しようか。次は英語ね」
「先輩は私の好感度友達に聞いたことあります?」
話をそらしたな。やっぽど英語嫌いなんだろう。それよりその質問完全にギャルゲーのやつ。いっちゃっていいのかそれは。
「何それゲームとか何か?」
俺がそう尋ねると顔を赤くした。
「ち、違いますよ。ほら友達って好感度の情報持ってるじゃないですか」
リアルで好感度を数値化できるわけない。これだけは言える。俺自身も最大百の好感度だとして彼女はどれくらい?と聞かれても正確には言えない。
「なら京香ちゃんの友達も知ってるの?」
友達の話題に持っていったら急に顔が暗くなった。
「私友達いないんです」
そういう人だったか。少し失礼なこと言ってしまったな。
「なんかごめん。知らなかったとはいえ」
「いえ、知らなかったし無理ないですよ。そもそも私、先輩のこと好きになるまでは人なんかに興味なかったですし。興味のあった人も誰なのか覚えてないんですよね」
彼女は1人でいても平気なタイプか。だから実際の人間関係も知らずついギャルゲーがでてきてしまう。だが、それが彼女にとっての正解。だからゲームを知らないことになってる俺が疑問になると、それはリアルでは間違っていると判断し、なんとか乗り切ろうとする。なら俺が教えてやる必要があるのは勉強だけではないわけだ。
「友達いる俺が言えたもんじゃないけどすごいと思うよ」
「全然すごくないですよ。私こんなだから周りからもきもいといわれてしまいますし。人と違うのは自覚してます」
周りの視線は気にしてしまうタイプなのだろうか。もしそうなら、相当毎日辛いだろうな。
「でも、一人で何でもできるってことだろ。それはそれですごいと思う。俺なんてできないことは友達に押し付けてるし」
「そうですかね」
照れた。優しい言葉には弱いタイプってことか。今日だけで彼女がどんな人物なのかわかってきたな。
「よし。元気になったことだし英語やりますか」
「そ、それとは話が別というか」
立ち上がり図書館の事務の人にばれない程度の速さで逃げて行った。やる気はあるのに嫌いな教科から逃げてたら意味ねーだろ。
図書館を出るともう近くに彼女の気配はなかった。京香ちゃんのバックここにあるし、携帯もバッグにある時点で帰ってくることはわかりきってるから追いかけないで待っておこ。
そして夕暮れになっても彼女は来なかった。ここで帰ってもいいのだが、確実に好感度上げイベントだったと言いそうだし探さないとだよな。手がかりないし厳しいイベントだぜ。
とりあえず片っ端から探した。商店街にもいなく、学校の近くにもいない。彼女の家を知らない時点で家に駆け寄ることもできない。もう探せる場所なんてないよな。道具は明日渡せばいいか。
そう思っていた矢先に京香ちゃんの携帯電話が鳴った。完全にアニソンの音楽だった。
「発売日。クロレンダー」
と書いていた。おそらく特撮ヒーローものだろう。最近のは全く分からんが〇〇ダーとかよく特撮で使われる名前だし。発売日ならおもちゃ屋に変身グッズとか武器を買いに行くことといったところだろう。とはいえ、彼女も頑張って隠してることだし、まだ現場で出くわしたくないだろうから、見に行く程度にして買い物終わったのに合わせて迎えに行くか。
「先輩どこ行ってたんですか?」
おもちゃ屋に向かおうとしたら後ろから裾を引っ張られた。
「おま、どこ行ってたんだよ」
「えーとトイレ行って、先輩いなくて携帯もなかったからいろいろ探したんですよ!!」
恥ずかしそうに言ったと思ったら俺が怒られた。どういうことだ。
「ほんとにトイレだけか?」
それでも寝起きみたいな顔をしていることを俺は逃さない。それに背中に草がついている。
「ほ、ほら今日暖かいから、寝ちゃったかもです」
「・・・・」
無言の圧をかけてみた。
「すいません!!トイレ行って外に逃げようとしたら先輩がいて、裏口から逃げてました。その途中で眠たくなって公園の芝で昼寝してました」
無言の圧つよ。今後何か隠してると思ったら無言になろ。
「はー。ほんと君は。もう遅いし今日はやめよか。家まで送るよ」
「私これからよるところあるのでこのまま解散しましょ」
多分クロレンダーのことだろうな。隠し方としては今日1番上手だ。
「分かったなら。気を付けて帰れよ。あと宿題やっておけよ」
「宿題・・・さよなら」
最後笑顔が消えてたな。宿題の一言で絶望してたな。
今日分かったことは3つある。1つ目は嘘が下手なこと。2つ目はまとめる作業で時間を使いすぎるから俺が資料を作らないといけないこと。3つ目は単純に、勉強が大嫌いだってこと。俺に勉強を教えてほしいといわれたときはやる気はあるが点に繋がらないだけの可能性もあったが、英語といった瞬間逃げたし確実にやる気はあるがやりたくはないって感じだ。この子をやる気にさせるのは少し骨がいりそうだ。
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