俺のスクールライフははらんだらけ

蓮蠱

俺の彼女が妹編

第1話 ついに俺にも恋人が!!

 高校2年生になった俺にはとある悩みがある。それは彼女がいないことだ。いないどころか告白をされたこともなければしたこともない。仲のいい人ができて付き合いたいと思っても関係を壊したくないと思ったらなかなかできずにいる。それでもやっぱり毎日思う。俺にも彼女が欲しい。


「りょうちん!!おっはよ!」

 りゅちんと呼んできたのは高校で1番仲のいい加賀櫂(かがかい)。りょうちんとは俺の名前尾上良太(おがみりょうた)のりょうからきている。

「櫂…毎度重いんだよ!!」

 櫂が俺を見つけるといつも走ってきてそのまま俺にのかってくる。ムードメーカーとしてはいい感じなのだろうがさすがに男だし重い。それに今は夏になりかった時期だ。死ぬほど暑い。

「あーわりわり」

 毎日謝ているが確実に悪気しかない。そうわかっていてもここまでは一連のあいさつのようになって俺も癖でつい言ってしまう。

「そうだりょうちん。これ昨日部活帰りに俺の下駄箱に入ってた」

 櫂はテニス部に所属している。俺は、中学の時はサッカーをしていたのだが、けがをしてしまいそこから高校でも部活にはしょぞくしていない。

 櫂から渡されたのは尾上先輩と書かれた紙だった。

「何でお前の下駄箱に?」

「知らねー。たんじゅんにお前といつも帰ってるから入れるとこ間違えたってところだろ」

 さすがに俺のために書いたのにそんな間違いするかよ。でも、ピンク色の封筒に丸文字。もしこれで男からのいたずらだったら俺はそいつを帰らぬ人にするかもな。普通なら1人になってあけるものだがそもそもこれが俺の物でなく名前を間違えた可能性もあるしこの場で開けた。


 放課後先輩に告白したいので屋上に来てください。


 告白宣言してる時点怪しさが感じれる。封筒と丸文字までは本物だと思ったが。さすがに告白します来てくださいは怪しい。

「やべーなこの子。それで名前書いてるのか?」

 封筒には名前が書いていなかったが、手紙の本文の裏に学年が書いてあった。一年生。つまり後輩になるのか。てか、名前も書いておけよ。

「心当たりは?」

「ない」

 そもそも後輩と話したことがないに近い。あったとしてもアニメで言うところの後輩Aくらいのポジションである。何でアニメで例えたかって?それは当然俺がアニメオタクだから。

「どうするん?」

「とりあえず行ってみる男かどうかはそのあとだ」

 もし俺の勘違いで行かなかったら相手にもかわいそうだし行くしかないな。


 そして放課後になった。あの手紙をもらったせいかいつも寝ている授業をずっと起きていた。本当に女の子だったらうれしいな。


 言われた通り屋上に向かった。扉越しでもう誰かがいるのに気がついた。多分あれだろうな。一度深呼吸をして今から見る光景がどんなものでも受け入れることを誓った。

「来てくれたんですね。先輩」

 まさしく俺好みのロリ。めっちゃ可愛い今にでも欲しい。恋人でなく、妹ポジとかで。

「とりあえずさ。なんで俺なのか聞いていい?」

 とりあえず俺はこの子のことを全く知らない。だから理由を知ろうとした。からかいという可能性を俺はまだ捨てたわけでないし。

「このプリント見てもらえます?」

 彼女が差し出してきたのは中間テストの結果だった。ちなみに俺は頭のいいアニオタだから中間テストはもちろん全教科70点を越えている。人にテストの結果を見せれるって頭がいいんだろうな。

「私と先輩はたしかにあったことはないです。ですが、先輩の成績表落ちてたのみつけて、先輩が頭と知り助けてほしいなって」

 思い返せば机の上に成績表があったことがあった。それを拾ってくれた人だったか。それで助けてほしいってまさか。おれはおそるおそる彼女の成績を見た。そこにはこう書いてあった。

 

 国語 38点 数学 2点 社会 12点 理科 0点 英語 0点

 

 この点数で人に見せれるのはさすがにやばい人だな。

「なるほど。つまり点数の告白をして助けてほしいことを伝えるために俺を呼んだ。それで、あまり人に見せられないから俺だけを呼ぶように仕向けたってこと?」

 告白と言えば俺と2人きりになることができる。ここまで考える策略の人だったら数学2点とはやばいだろ。

「告白は本当にしようと思いました。今でなくていいです。いつか私のことが好きになってくれたら付き合ってほしいなって」

 俺からしたらこんなかわいい子に告白されるのはうれしいことだ。しかし、

「ちなみに付き合いたいって思った理由は?」

 本当に好きになってくれない人と付き合うって言っても長くは続かない。俺はつくしたいから、互いに好きな状態で付き合いたという変なプライドがある。

「頭がいいからです」

「他は?」

「うーん他はー・・・・」

 頭がいいから付き合いたいって思うって・・・。この子は精神力が普通の人よりあるらしい。

「あーもういい。大体わかったから」

 ロリでかわいいから別に断る理由がないんだけど。それに彼女いない歴=年齢を打破できる。

「だったら一つ条件付けていい?」

 俺は彼女にとある提案を思いついた。

「何に対してですか?」

「多分君もちゃんとやればできる子だ。だから多分俺がいなくても勉強ができるようになる。そうなるまで、俺は君を彼女として接する。だが、それ以降は互いに付き合いたいって気持ちがなかったら別れる」

 これなら、彼女いない歴にも打破できるし、彼女が俺のことを好きでなくなったのならそれはそれで終われる。互いにウィンウィンな条件になる。

「いいですよ。つまり先輩をおとせばいいんですね」

 おとす?なんか聞いたことのあるフレーズだな―。

「別に君も嫌ならすぐわかれてもいいんだよ」

「何言ってるんですか。先輩知らないんですか?」

 彼女が俺に近づいてくるそして彼女の口が俺の耳の近くに来た。

「主人公が推しメンを変えないのは常識じゃないですか」

 主人公。推しメン。なーんか親近感の枠ワードが飛んできたな。そして、おとすって普通の会話で使わないよな。

「君もしかしてオタク?」

 これは確実にギャルゲーでよく聞く言葉だ。話し言葉というよりは心の中のことが多いけど。すべて踏まえて彼女はオタクと推測できる。

「な、何言ってるんですか。私がオタク?アニメとかギャルゲーとか声優さんとかそれに、あとアニソンなんて全然知らないですよ」

 アニメオタクでないやつが、ギャルゲーだの、声優だのピンポイントワード言うわけないんだよなー。俺もそうだといえば多分いいんだが、正直勉強を教えるうえでアニメ要素は無駄になるし、俺は普通の恋愛がしたい。だからここは彼女に乗ってやろう。

「そうなんだ。なんか主人公とか推しメンとかいうから焦っちゃったよ」

「当たり前じゃないですか。最近のトレンドワード先輩知らないんですね」

 これがトレンドワードだったらもう日本は崩壊してる。それにしてもアニメオタクが全力でアニメオタクでないと否定するところはかわいい。

「付き合うことにして、名前聞いていい?」

 付き合うことが決まったのにこの子の名前を聞いてなかった。

「あ、私、斎藤京香です」

  京香という名前に少し思い出したことがあったが流石に気のせいだろうな。


 これから赤点回避のための勉強会が始まる。


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