第24話『だいじょうぶかな』
RE滅鬼の刃 エッセーノベル
24『だいじょうぶかな』
元日の新聞を読んでいないのはわかってました。
読んだ新聞を丁寧にたたむお爺ちゃんですが、折り方……というか広告の戻し方に特徴があります。
広告の折り目と本紙の折り目を逆にするんです。
たぶん、折り目を同じにしていると、一か月も重ねると折り目が重なったところが分厚くなりすぎるから。
ただの習慣かもしれませんが。
他にもあるんですが、内緒です。
まあ、そんなで、読んでないことは知っていました。
でも、読んだつもりになっていたら……と思うと言えませんでした。
だからね、「出すのは、お祖父ちゃんやってよね」と念を押しました。
もし、出すのも忘れるようだったら……ちょっと、あぶないじゃないですか(^_^;)
まあ、ちゃんと出してくれていたので、一安心。
お祖父ちゃん、このごろ人相が悪くなりました。
多分、老眼がさらに進んでるせいです。
「メガネ買い直したらあ」
言ってみましたが「まだだいじょうぶ」と言います。
「いまの度数分かってる?」
「え、えと……」
「机のここに貼ってあるから」
「え……ああ、これかあ」
と、目を細めますが見えていません。
貼ってあるのは、レンズの端っこに貼ってあった度数表示の豆粒ほどのシールです。
次に買う時にスカタンしないよう(以前、同じ度数のを買って無駄になったことがあります)貼っておいたのです。
「そうそう、3.5だ。思ってたのといっしょだったぞ」
ぜったい嘘です。
老眼鏡というのは、普通に5.0まであるようです。
一昨年の暮れに老眼鏡を買い直して、その度数が(3.5)でした。
いちど目医者さんに行ったらと言うのですが、なかなか行きません。
お祖父ちゃんは、座卓の横に未読の本を積んでいます。
読んでしまった本は、まとめて下の部屋の本棚に移します。
だから、いつも同じくらいの本が積んであっても、同じ本ではありません。
それが、この数か月、本の移動がありません。
取り越し苦労なのかもしれませんが、ちょっと心配のお正月でした。
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Sのドクロブログ☠!
だいじょーぶかよ!?
言霊っていうのがあるから、はっきりとは言わないけども、きてんじゃないかって気がする。
新聞は読むだけでも、目にも頭にも悪いもんだって、教えてくれたのは祖父ちゃんだけどさ。
それなら、新聞止めちゃえばって思った。
こないだ料金上がって、月に4400円だもんね。
基本、年金生活の祖父ちゃんには、ちょっと贅沢品、てか無駄だと思う。
「また、嘘書きやがって!」
ネットで情報とってるから、新聞の嘘とかいい加減さとか分かってるはずなのに、やめねえ。
年間で52800円だぜ!
もう、丸っと止めちゃえば清々しいのにね。そいで、その分栞にちょうだいよ。有意義に使うからさ!
本だってさ、このごろ読んでないじゃん。
座卓の横に『SAO』とか『こち亀』とか『アクセルワールド』とか『りゅうおうのおしごと』とかあるけど、ひとつも進んでない。
廊下の本棚にさ『岩波歴史講座』って、読んだら呪われそうな本がズラリと並んでる。
ケース入りなんだけど、もう黄ばんで、はんぶん朽ち果ててるの。
たぶん、若いころに無理して買ったんだと思う。
年齢とか経歴とから言っても、団塊の世代の尻尾でさ。まあ、サヨクなわけですよ。
でね、一冊出して見てみたわけですよ。
「ゲ!?」
吐きそうになったね!
傷んでんのはケースだけで、中身真っ新!
挟んである紐の栞も、なんだか押し花みたいにペッタンコ!
ああ、積読は昔からなんだ!
まあ、情けないような、安心したような……。
だけどね、ちょっと心配になった。
孫娘まで、ペッタンコにしないでよね!
ちょっと、栞って名前がおぞましく思えた正月だったぜ。
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