第38話 あるもの削りの達人

無いものねだりをした経験は誰にでもある。


〇〇ちゃんは頭が良くて算数が凄いできる、私も賢くなりたい。


あの人はお金持ちの家でいいなぁ、私も贅沢がしたいなぁパパ!


生まれつき足が速かったら、いい記録出たんだけどなぁ。


あいつは天才でいいなぁ。俺にもわずかでも才能があったらなぁ・・。


無いものねだり程、実現が難しく、自分を苦しめるものはない。


ねだったところで、人それぞれ限界があることをいつしか知ることになる。


そこで提案、「欲しい→失う」に発想の転換をし、あるものを削りをしてみてはどうだろうか。


自分が身に付けた技能や資格、能力や経験をあえて使わない。


技能や資格をあえて失効(削る)する。


能力、経験を捨てる。


それができたら、あるもの削りの達人である。


自動車普通免許更新をあえてしない。


選挙で不正をし、あえて議員辞職をする。


危険ドラックを乱用し、あえて芸能界を引退する。


教員免許更新をあえてしない。


無駄遅刻、欠席を繰り返し、自主退職を勧告される。


あえて、妻や家族から捨てられる。


パソコンに詳しいが、不勉強な人に教えず、あえて嫌われ孤立する。


身近に、こんな達人がいるのではないだろうか。


達人たちは、「うっかりしてた」と口を揃えて実行する。


うっかり八兵衛は軽口を叩いて、あえて信頼を失う。


あるものが飽和状態になると、人は削りたくなる。


自然の摂理の一種なのだろうか。


本能だろうか。


これは、無いものねだりを越える欲求となるのではないだろうか。


無いものをねだっても、諦めることが多い。


あるもの削りは、誰にでもできる。


主体的に削ったところで、見えてくる世界もあるはずだ。


無いものを得ても満たされることがないように、あるもの削りも…。


でも気を付けてください。


知らぬ間に削られていたときは寂しさが募りますから。






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