スノードーム

clara

第1話 あと三度寝ると

 兄のそらと妹のうみ


 同じ日に生まれた彼らは双子だ。


 この町で、彼らはずっと一緒に生きてきた。

 町に住む16人の少年少女と共に教会で暮らしながら。


「今日はもうおやすみ」

 そう言ってシスターの一人が声をかける。


「えぇもう?」

 海が不満そうな声と表情で、聞き返すが、シスターの答えは変わらない。


「えぇ、もうおやすみの時間なの」


 空はハッとした顔をして、厳しい口調で問いかける。

「時間ってなに?」


 するとシスターは焦ったような顔を一瞬見せ、

「そんなこと言ったかしら?いいから早く寝な。」

 厳しい口調で空と海に当たった。


「ちっ!しょうがねえな。海、行くぞ。」

 そう言って空は海の手を引き、寝部屋に戻った。


 寝部屋は2部屋ある。


 教会の階段を上がり、2階の突き当りと3階の突き当りにある。


 海は2階、空は3階だ。


 たまに、誰かが教会からいなくなり、誰かが入ると、部屋のメンバーが入れ替わるだが、一度離れてからは空と海は一度も同じ部屋になったことがない。


 小さい4人の子は別の部屋でシスターがいつでも対処できるような部屋で寝るので、残りの14人で2部屋を分けている。


「じゃあおやすみ。」


 空は海にそう言うと、海が声を返す前にそそくさと階段を3階に上って行ってしまう。


 海は少し悲しそうな顔をしながら、自分の部屋へ、トボトボと歩く。


 二人は部屋へ入り、自分のベッドに入ると目を閉じる。


 あと二回目を閉じると、あの男と彼らは会うことになる。

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