小さな妖精
大西 詩乃
第1話 庭
夏休み、お母さんが病気になった。
長い間入院しないといけないってお父さんが言っていた。だから私は一人で待ってる。
お父さんは仕事でいつもいないけど、私は強い子で、少し寂しかったけど大丈夫だった。
その日は朝からずっと雨が降っていた。私はいつも庭で遊んでいたからつまんなかった。
大好きな本も全部読み尽くしていた。
こんな事なら、友達と遊ぶ約束しておくんだった。でも、お母さんとたくさん遊ぶ予定だったから仕方ない。
お父さんが作ってくれたお昼ご飯をレンジで温めた。テレビを見ながら食べていると外が明るくなってきた。
ご飯を食べ終わったので庭に出た。
雨上がりの庭は日の光を浴びてキラキラと光っている。
だけど、雨上がりの庭ほどつまらない庭はない。お花に水をあげなくても良いし、砂場もどろどろで沼のようになってしまっている。
一応、花の様子を見てみよう。
いつも通りだ。むしろ水滴がキラキラできれい。冬になったらどんなお花を植えようかな。
汗がたらりと土に落ちた。日が出てきて急に暑くなってしまった。部屋に戻ろうと立ち上がる。
ちらりと、プランターの後ろ側に赤紫色の何かがいた。最初はお花だと思ったけど、違った。
それは小人のような、物語の中にしか出てこない妖精のような、羽のようなものが付いた小さな人だった。
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