all breaker

@paruseito

第Ⅰ章 アリスティディス編

第1話 幼き日の記憶。

それは、幼き日の記憶。今は、もう名前も顔も憶えていないあの旅人。


けれども最後に交わした会話だけは、記憶に残っていた。


幼子は、問うた。「おじちゃんは、なんで旅をしているの?」


旅人は、しばらく考えるとおもむろに答えた。


「特に意味はない・・・強いて言うならば暇だから・・・かな。」


幼子は、首をかしげると 「ヒマだから?ヒマだと旅をするものなの?」


旅人は、苦笑いを浮かべながら 「暇って言うのは、事実だが目的は、あるのさ。」


 「モクテキ?」


旅人は、語りだす。


「昔、ある人に言われたんだ、


『 世界は輝きに満ち溢れている お前だけにしか見えない輝きを見つけろ、


それは、風景かもしれない、それは、事象かもしれない、


それは、人かもしれない、それは、獣かもしれない、


それは、石ころかもしれない。


とにかくお前にしか見えない輝きをみつけるんだ。


そしてその輝きがお前にとって、真に大切なものならば、全力で守るんだ。』ってね・・・


そうして私は、輝きってヤツを見つける為に旅をしはじめたのかもしれないな。」


 「カガヤキ? おじちゃんは、カガヤキ?見つけたの?」幼子は、問いかけた。


旅人は、満面の笑みを浮かべて幼子の頭を撫でると、「嗚呼」と一言答えた。



 おぼろげに残っていた記憶・・・なぜ今になって思い出したのだろうか、これは、何かの啓示なのだろうか・・・いや、きっとそうなんだ!!


 『旅に出たい、いや、旅に出るんだ。』


 そこには、黒い瞳に黒髪セミロング、黒のローブをまとった少女がいた。


 少女の名は、 シフォン=クレア。14歳。


 彼女はその日、決意した。旅立つことを・・・

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