地獄の淵の一匹の怪物
Meg
第1話 地獄の淵のできごと
地獄の片隅の暗闇の中、血の池には、人間の男や女たちがプカプカ浮いていた。血の池の岩の上からは、
池の
ふと、鬼めらが怪物に気づき、
怪物は
自分がいつ、どうやって生まれたのか知らない。気づいたら、いつも獄卒の鬼や、亡者どもに攻撃され、
ずっとそうして生きてきた。そうしないと生きていられなかった。
一方で、怪物は時々地獄へ送られた人間が見せつける、愛というものへ
ある日のこと、怪物は血の池の
魂は抜けている。おそらく魂だけ
怪物は思った。おそらく何不自由ない暮らしの中で、誰からも愛されてきた女なのだろうと。憎しみがむらむらわいた。怪物は緑色のドロドロとした腕を伸ばし、女の体を真っ二つに引き裂いた。血の池に投げ捨てようとする。
だが、腕を止めた。
引き裂いた女の体の中に、空洞がある。ちょうど怪物が入れそうなくらいの大きさだ。怪物は裂けた女の体をまじまじと見た。
もしこの女の体をかぶって地上へ
怪物は恐る恐る空洞に入った。
女の体をかぶった怪物は、地獄の淵から地上への道をひた走った。途中、何人もの獄卒の鬼たちが、怪物を追いかけた。地獄から地上に昇るのは
怪物はひたすらに走った。次第にあたりが
霧の向こうへと急いだ。
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