第3話 気を付けても、「交通事故」「コロナ」「嵐を呼ぶ幼馴染」は所構わずやって来る!
「ただいまあーーー」
とは言っても誰がいるでもなし、それに妹の乃亜のヤツは放課後の部活とかで遅くなるだろうからなあーーー。
それに、午後からの授業、結局サボっちまったしなあ。 それよりどうしよう、明日からの登校。 身の安全を考えとくなら1週間……いや1ヶ月くらい
今日の昼休みに巴惠の親衛隊を称する奴らに
なぜオレが妹の乃亜と2人だけで暮らしているのかと言うと、オレが受かっていた高校と言うのが実家から恐ろしく遠く離れていた事もあるし、現在の世間の事情よろしく両親共働きで2人とも夜遅くにならないと戻らないからだ。
それと言う事でオレが受かった高校から程近くにあるアパートを借り、しばらくは1人で生活をしていたのだが、何分
まあーーーその事に関してはなのだが、半分は乃亜の意志で、もう半分は母親がオレ一人だったらロクな生活をしてやいないと思ってしまったからのようなのである。
うむう、悔しいが反論の余地がない。 実際の処、昼食は学校の購買部でなんとかなるが、朝や晩飯は近所のコンビニにお世話になっている事が多い。
しかしだ、妹の乃亜が来てくれたお蔭で朝や晩飯も栄養の偏りがない食生活を営んでいられる。 まさによく出来た妹様様なのだ。
なのだ―――が……本日より乃亜様は我が校の陸上部に入っているだろうし?乃亜様がお戻りになるまで腹ペコの野良犬めはお腹を空かして待っていなくちゃならない訳なのだが……
「あっ、兄さん戻って来たんだね。 おかえりーーー」
ん??なんで未来の我が校の女子陸上部のエース様がお戻りになられている?
「なあ、乃亜。 なんでお前がオレより早く戻っている?部活はドウシタノ?陸上部に入ったんじゃなかったの?」
「うん……そのつもり―――だったんだけど、ね。 それより兄さん、巴惠の親衛隊からリンチ喰らったんだって?」
お、おぅ……なんとお耳の早いこって。 いやだけどなあ、それってオレの問題じゃない?そんなオレの所為で才能ある妹の未来を潰すってな考えはオレにはねえんだよなあ……
「まあ……そりゃそうなんだが―――それとこれとはお前には関係ないんじゃん? こんなんでお前の将来、棒に振るってどうなんだよ。」
「けど私は兄さんの事が心配なんだようっ!」
聞いたかい?諸君、これが献身的な妹のあるべき姿なのだ。 なのにゲームの中では、やれ「DT」だの、やれ「
まあーーー斯く言うオレも、こいつに負けず劣らずセク・ハラ発言してやっているんだけどな。
まあそれは置いといて、だ。 腹も空いたんで早速飯に―――と、思った処??
「ただまーーーこれから美味しいモノ沢山作ってあげるからね。」
ん?ん?んん? なんでこいつは、さも当然であるかのごとくに他人の家に上がり込んできやがるんだ?
そう、そこで
「あなたは『
そうそう、オレの幼馴染の女子の名は『世良吹耶』……
ん?せら ふいや―――せら ふぃや―――せらふぃーや―――セラフィーヤ―――シェラフィーヤぁあ?!
おい、ちょっと待て、なんでこいつがここにいるぅ?
「おほほほほっ、『何故あなたがこんな処に』? ご挨拶を言ってくれるものね。 そんな事は決まっているでしょ!竜児の妹
て、ちょっと待って下さいよ? なんだか話しがズレてやしませんか?? いやそもそもだよ、なんでゲームの世界のNPCが、現実世界に出てきちゃってんの……って事―――でえ?
「ち……やはり私の感覚は間違っていなかったようですね。 元々はこの世界に存在しないハズのあなた(シェラフィーヤ)が、いもしない私の兄さんの幼馴染を名乗り出るなんて。」
「ん?ちょっと待て?乃亜。 お前……こいつの事があのポンコツ魔王だって知ってたのか?!」
「ええ、はい。 だっていもしない兄さんの幼馴染を名乗り出た辺りから「
そう……「
「さすがに竜児……いや、私のアベルの『
「いや、だってお前相当ポンコツだろう。」
「う゛あ゛あ゛あ゛ん゛!バカバカバカぁーーーッ! アベルのバガあ゛~~~っ!」
「それより静かにしてもらえませんか、深夜ではないとはいえ、そう大声を出されては近所迷惑ですよ。」
「う゛っ……ぐ、わ、判ったわ。」
「それよりお前、今どこ住んでるんだ? この家から遠くなら早く帰った方がいいぞ。」
「―――ないの……」
「……は?今お前なんつった?」
「ないの!私がこの世界で暮らす場所なんてあるわけないじゃない。」
「そんなに自慢げて言わなくても……」
何てことでしょう―――このポンコツ魔王様は、着の身着のまま……ちゅうか、本当に後先のことを考えずに手前ぇのやりたい事だけをやる……
あの世界でもこいつに散々振り回されっぱなしだったもんなあ―――よく考えて見れば。
しかし…………何と言うか……………………
それを「知るか」で追い出す―――てのも、なんか素っ気ない話しだよなあーーーー。
「仕方ありませんね、だったら住む家が見つかるまでここにいて構いませんよ。」
「本当?!気が利くわねえ~~ノエル。」
「けれど、見つかり次第容赦なく追い出しますけどね。」
「なんて事!!
「だって当然じゃないですか! ここは私と兄さんの甘ぁ~い
あのぉーーーお?乃亜さんや? おま……やっぱりオレのアパートに転がり込んできたのはそっちが目的なのな??
「なんて事……と言うよりさすがだわね、歯に衣着せぬ―――と言うか、本音が
「ふっ……所詮“光輝なる者”と言われる『イラストリアス』と言えどもこんなもの……私の知り合いに不動産業経営している人を知っていますから、早速明日にでも話しをするとしましょう。」
「ふふン―――やれるものならやってみなさいな。 言っておくけど私はここから出てく気なんかないんだからねッ!!」
「なるほど……やはりそういうつもりでしたか。 ですがあなたの思い通りに上手く逝きますかなあ~?
あのおーーーこのアパートの借主、一応オレなんですけど……なんかオレ遠い場所にぽつんと放置されてなぁい?
しかもぢょし2人して盛り上がりやがってえ……しかし―――あれだな? 一人の女の子に『
まあなんだかんだうやむやの内に、オレのアパートに転がり込んできた見せかけの幼馴染は、オレとその妹と一緒に住むと言う三人所帯となったわけで……。
この奇妙な同居生活は出来た我が妹様が作った“法”に
「ええ~~~っ、なんで私とアベルとが別の部屋なワケぇ?!」
「当たり前でしょう!何を言っているんですかこのエロ河童は。 いいですか、いくら私と言えどそこは分別しているんです。 兄さんはゲームの世界でこそああ言う立ち回りをしていますが、芯は奥手なんです。 ですが現実の世界に於いてはまだそれに輪をかけて奥手。 無理にでも(肉体)関係を迫りでもしたら嫌われますよ。」
「判っ……た、うん―――ありがとうね、ノエル。 私……ほら、
「(……)しまった、教えるんじゃありませんでした。 ここは吹耶に襲わせて兄さんに嫌われた処をこの家から叩き出す―――と言うのが最もスマートだったのでは……」
「……してよ、返してよぉお~~~!私が感動をしてしまった時間を゛お゛っ゛!! そう言う事だったのねっ……ノエルの現実での姿はお澄まし顔でも腹黒い事を考えてしまえる……そう言う悪い子だったのねえ~~~っ??」
「なにを今更。 兄さんが結成している『悪党』を見れば一目瞭然じゃないではありませんか。 それより吹耶、あなたさっきから私達の事を「アベル」だの「ノエル」だのと、そう言ったのは止めて下さいね。 そうでないと私達まであなたと同じようにイタイ子だと思われますから。」
このオレそっちのけで繰り広げられる女達の「仁義なき戦い」とそう言えばいいのだろうか。 いやしかし―――しかし、だよ。
ゲームの世界では割とこの2人は仲良くやっていた……てのに、現実の世界にオレ達が戻った途端にコレダヨ。 これがさあ……「イザナミ」や「イザナギ」、果てはあの「クローディア」まで巻き込んだならどうなるんだ? このオレの現実……。
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