地下一万メートルの島で

西辻 東

暗闇と恐怖。裸の少女が部屋にいた。

 目が覚めると、暗い部屋に閉じ込められていた。


 辺りは子供たちでぎゅうぎゅうに敷き詰められている。


 重たい上半身を起こした。


 そして私は感じる。


 この部屋が、ゆっくりと下に沈んでいることを。


 他の子供は起きてこない。どうやら私だけが起きているらしい。


 私はそのことに気がつくと、ひどく怖くなった。


 急に後ろから何か黒い影が私をおそうのではないか、あるいはこの子供たちはすでに死んでいて、私だけが何かの間違いで生きているのではないか、と考えだす。


 私は近くにいた子供たちにふれる。


 起きない。


 返事がない。


 暗いのが怖い。怖いのが怖い。


 すごく大きな黒い影が私の後ろに立っている。私が後ろを向くと、それに合わせて影はまた私の背中に立つ。


 そんなさっかくにおちいる。


 近くにいた少女の頬を叩いた。


 ぜんぜん目を覚まさない。代わりに、呼吸が聞こえてくる。


 でもその呼吸でさえ、私を怖がらせてしまう。


 どうしようもなくなって、うずくまっていると、誰かが起きた。


 その少女は、はだかだった。

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