第57話息子くんと芋堀遠足

 保育園年長と小学校一年生の頃にあった芋堀遠足、小学校では高学年のお兄ちゃんお姉ちゃんが育てたサツマイモをお兄ちゃんお姉ちゃん達と掘るのですが保育園の頃はどうやら自分で上手く掘れなかったらしく小さな小さなサツマイモを三つほど掘り当てたと聞きました。

 流石に小さなものや採れなかった子のために農園さんが用意してくれていた持ち帰り用のサツマイモを持参した袋に詰めて帰宅してきました。

 泥だらけの服に肩を落とした息子くんが差し出した袋にはめいっぱい、本当にビックリするぐらいのサツマイモが詰まっていて、元気のない息子くんは「おっきいの掘ってたんや、隣の子が無理矢理取ってん」と悔しそう。

 「そっか、喧嘩はしなかったんならいいよ」と返したママ、それより何よりこの大量のサツマイモの調理に頭を悩ませていました。

 翌日保育園へ送りにいくと先生からサツマイモを確かに息子くんが掘っていて大きなのを一生懸命掘っていたらしいのですが、隣に居た子どもが息子くんを突き飛ばし大半掘ってあったサツマイモを取ってしまったらしく、その一部始終を農園の方が見てしまっていたらしいのです。

 息子くん最初は怒ったらしいのですがグッと口を結んで「ええわ、やるわ」と言ったあと反対側で掘れなくて困っていた子どもに気付き自分の分はそのままにその子のサツマイモ堀を手伝ってあげていたらしい。

 当然息子くんに帰宅後、話して褒めました。喧嘩をしなかったことより上手く掘れなかった友だちに手を貸したこと、それで結局息子くん自身は小さなサツマイモしか掘れなかったとしてもママはすごく嬉しいよと。

 ただ一部始終を目撃していた農園さんはそれでは気が済まなかったらしく息子くんの袋にこれでもかとサツマイモを詰めてくれたらしい。

 問題はママがサツマイモ苦手な事だったんですよね。

 食べ切れる量でもなかったので甘く煮たのをばぁばに、息子くんには芋ご飯以外にチップスなどのオヤツにと、暫くサツマイモづくしの食卓になりました。

 

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