第6話自転車でGO
息子くんの自転車デビューは早くもなく遅くもなく。順調とまではいかずとも半年もすれば補助輪なしでも乗れるようになった。
家の前は路地になっていて少しばかり長めの見通しの良い直線になっていた。
交通量もほぼなく、まあ危険度はかなり低い。
自転車に乗れるようになり二年ぐらいが経過した。保育園の卒園も無事終わり、冬の名残りのあるまだ三月の始め。まぁ保育園と小学校への入学までは日にちがあり一日家に居てられないので家の前で遊んでいた息子くん。
当然、ママなり大人が付いていない時の自転車は我が家では禁止していたのだが、こっそり鍵を持ち出して息子くん自転車を出したらしい。
それにママが気づいたのは、昼ご飯の支度をしている最中に鳴ったインターホンだった。
「息子くんが!顔からガードレールに突っ込んだ!」
たまたま息子くんを眺めながら井戸端会議をしていたご近所さんが目撃したのは、ブレーキが間に合わず正面からガードレールに自転車で突っ込み、当人は吹っ飛んで顔から目の前の電柱にぶつかったらしい。
血相を変えて息子くんに向かいママ走る。泣きじゃくる息子くん、血はあまり出ていなくそれでも顔からスローモーションで突っ込んだと聞かされてとりあえず直ぐに相談ダイヤルに電話して、近隣の病院へ息子くんを連れていった。
縫うような怪我ではなく打ち身だけだったのだが...当人も黙って隠れてダメと言われてることをするもんじゃないと思ったようで暫くは決まり事も守っていたりしたのだが、如何せん顔からぶつかったので半年ほど顔の半分が青あざ状態。
そう、来月には入学式。
勿論、入学早々の担任の先生から心配のお電話頂戴しましたが、ことの成り行きを説明し、息子くんにも確認し虐待という疑いは晴れたものの、暫くは担任の先生と顔を合わせる度に「早く青あざひくといいですね、見てる方が痛くて」と。
鍵は本来手の届かない位置に置いていたのだけど、決まった場所に置いていたので台出して持っていかれるのは止めようがなかったが、あれだけは今もゾッとしますね。
子どもの行動力侮り難し。
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