第5話初めての歯医者さん
息子くんの初めての歯医者さんは虫歯でも歯列矯正でもなく、それはある日ある一本の電話で始まった。
後一時間ほどでお迎えという時間、ママの携帯電話に着信が。保育園からというのは中々に心臓によろしくない、何があったのかとヒヤヒヤしながら電話に出ると、園長先生からの慌てたような連絡。今連携している歯科医に行ってるからそっちへ向かって欲しいと。
何があったか要領を得ないまま「何故に歯科?」と疑問を抱えつつ自転車で向かう。
秋口の少し冷たい風に背中を押されながら小さな昔ながらの懐かしさを漂わせる歯科に到着しドアを開けたところで保育園の先生たちに迎えられた。
ことの経緯は早めにお迎えに来たお友達と門扉ではしゃいでバイバイしている最中、閉まった門に顔面から衝突し前歯がぶつかり軽い出血があったとのこと。
「いやぁお母さん、息子さん立派な前歯だね。これなら大丈夫。生え変わりにも影響ないよ」
歯科の先生に太鼓判押されながら診察室から出てきた息子くんの手には飴が。
「泣いて大変だったんですけど」
憔悴した付き添いの園の先生曰く、あの椅子に乗るのに抵抗したらしい。
歯医者さんが椅子を少し稼働させると大興奮でのったらしいのだが、そこで口の中を見せなきゃならないのに喋る喋る黙らない。
二三日しても痛むようならと言われたがその数ヶ月後、またしても顔から突っ込んだ怪我をしたのだけどそれはまた次回。
帰宅後息子くんは歯医者さんの診療台の格好良さについて一週間ほど語ってました。
数年前とうとう虫歯を作って歯医者さんに行った頃にはそのことをすっかり忘れて泣いてましたね。時の流れを感じながら今日も息子くんの歯磨きには余念が無いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます