第48話 仲直り
「なあ、リョウ、俺だよ俺。」
「オレオレ詐欺は間に合っています。」
「うるせぇ番号でわかるだろ!」
「ハイハイ、それで何のようだユウヤ。」
リョウは、面倒くさそうに応答してくる。
「ちと頼みがあってな、ミウちゃんのライブチケットを3枚用意してくれ。」
「簡単に言うなよ、チケットはプレミアがついて手に入らないに決まっているだろ。」
「お前なら手に入るだろ?まあ裏に手を回せばいくらでも手に入るがお前がいるのにワザワザやることもないか。」
「えーめんどくさい。」
「そうか、ならお前の恥ずかしい写真がミウちゃんに流れるだけだが良いのか?」
「・・・てめぇ、何を流すつもりだ。」
「さしずめ最初はお前のお宝リストがミウちゃんの手に渡る。」
「なっ!」
「それでも断るというなら、少女を抱きしめ泳いでいた時の写真を渡す。」
「あれは溺れていた子を助けただけで・・・」
「その後のキスシーンをだ。」
溺れていた女の子を助けたまでは美談なのだが、その女の子が惚れたのか感謝の気持ちなのかわからないがリョウにキスをしたのだ、端から見ると感動シーンかも知れないがリョウに想いを寄せる少女達にとってはどうであろう。
「きたねぇ!やることが汚い!」
「お褒めに預かり光栄だ、それでどうする?お前が断っても俺は困らん。」
「ちくしょう!覚えてやがれ!」
「良い答えだ。」
俺とリョウは電話を終える。
俺はリョウとの交渉リストから先程の提案を消す、同じネタで二度脅さないのが鉄則である。
まあ、脇が甘いリョウとの交渉ネタはこれ以外にも多々ある、貸しもまだあるし当分補充が無くても大丈夫そうだった。
「二人とも喧嘩の最中悪いが、ミウのライブに三人で行こう。」
「「えっ?」」
「たまたま友人の善意でチケットを用意してくれる事になってね、喧嘩をしないなら一緒に行こう。」
チカとアヤメは互いに目配せをしている。
チカは俺が物を用意してまで喧嘩を止めようとした意図を察したのだろう、気まずそうにモジモジしている。
一方アヤメはライブに行ったことも無いのだろう、目の輝きが違っていた。
「二人ともいいね?」
「わかりました、喧嘩しないです。」
「私も喧嘩しません。」
チカとアヤメは握手をして仲直りをする。
その姿を遠くで見ていたマルは・・・
「なんで問題をさらに大きくしていくかなぁ・・・」
呆れた様子で見ていた事を俺は知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます