第24話 閑話 金子組の勤務
金子組の日常
金子組の朝は早い。
朝5時、組員の大半が住んでいるマンションに起床ラッパの音が木霊する。
一応部屋のスピーカーでオンオフは出来る仕組みだが、通常の組員は基本的に全員オンにしている。
オフにしているのは幹部と前日仕事が夜遅かったもの、誰に文句を言われる事もない人達だけだった。
起床したら30分以内に運動出来る格好に着替えロビーに集合する。
「遅いぞ!」
ロビーに行くと銀次さん、もしくは倉田さんがおり、時間になるとランニングに出発する。
遅刻しても罰はないが、お二人の印象は悪くなるだろう。その為、今のところ遅刻者を見たことはない。
そして、ランニングに出ると俺達はすれ違う人全員に挨拶する事が義務化されている。
ユウヤさんが定めた俺達極道の印象を良くするという方針の為だ。
そして、コースは金子組のシマを走る、ルートは引率する人が決めるため、遅れると合流は難しくなる。
30分程走ったら、帰宅し、身支度を整え、出勤?となる。
金子組は基本的に8時ー17時が勤務時間となっている。急遽、夜まで仕事ということもあるが、もちろん、その分残業手当てはつくのだが。
そして、大抵の組員は7時に集まる。それは、事務所けん自宅である、組長宅で朝食が無料で振る舞われるからである。
この組で出される食事は非常に美味しく、ちょっとした店では食べられないぐらいのクオリティであった。その為、ワザワザ食材を買って自分で調理するなんて事をしているのは組員の中にほとんどいなかった。
朝食が済むと、仕事である。
とはいえ、通常の組員に仕事はないのである。
組の資金源はユウヤ率いる投資部門で行われており、それ以外は、事務所や町の清掃活動、シマ内の商店街の御用聞き、その手伝い、組が経営している店の手伝いなど、内容はたいしたものがない。やるやらないも本人に任されているが、これらの仕事は暇な人間の取り合いである。その訳は・・・
「今日、暇なやつは道場に集合だって・・・俺もだが・・・」
先輩のシュンさんが死にそうな顔で告げてきた。
それもそのはず、暇な人は倉田さんの実験台もとい、戦闘訓練に駆り出される可能性がある。
過酷な訓練でうちの組で辞める人の大半がこれを理由にあげる。
しかし、倉田の訓練は不定期で普段なら組が経営するジムで筋トレ、格闘技、剣術などを行い、自己研鑽に勤め、いつでも戦える身体を作ることを求められる。
そして、アフター
5時が過ぎると夜警担当以外は帰宅出来る。
夕食が7時からなので、夕食を食べるものはのんびり事務所ですごす、だが給料が出るのは、夜警担当者だけである。
夜警担当は繁華街に行き、店と客のトラブルの仲介、グレた若者を肉体言語による教育と多岐にわたるが、街の人からの感謝の声や、夜勤手当は魅力的で、やりたがる人は多い。
余談だが、街の住人の信頼が厚いせいか、金子組は警察と昵懇の仲である。
非合法の捜査協力も行っている。
悪さをするものの情報は悪いものの元に集まるものだ。
そんな俺達の給料は各種引かれもの後、手取で月20万は保証されている、その上、夜勤手当、危険手当など、やった仕事次第で増額がある。幹部の気紛れの小遣いなども合わせれば1番の下っ端でも最低でも30万にはなる、多い奴だと100万までいった奴もいるとか。
幹部たちはこれに加えて、役職手当、教育手当等が付き通常で月200万の給料になると噂がある。
もちろん役職によって違うらしいが・・・
そして、直接稼いでいるユウヤさんの給料は四桁を越えてると聞くが俺達は真相を聞けていない。
稼ぎ額が破格過ぎて想像も出来なかった。
俺達、平の組員の最大報酬は組の仕事で捕まった時らしい。逮捕者が出ないのでわからないが破格の慰労金が準備されているとか・・・
宝くじの如く、これを狙う者は多かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます