第13話 飲み会

「おっ、婿さん今日は飲みにこれたのか?」

「やかましい!婿じゃないやい!」

俺は今日、組の若い奴らの飲み会に来ていた。

「あれ?ユウヤさんも参加ですか?」

「なんだ、参加したら悪いのか?」

「いえ、今日は女性もいるし、来ないのかと・・・」

「なんで女がいたら来ないんだよ!」

「だって、ねぇ?」

「婿だもん♪」

「シン!からかうのをやめろよ!」

「浮気はほどほどにな。」

「お前に言われたくないし、俺は独り身だ!さあ、今日は飲むぞ!」

ユウヤが入っていった事を確認後、

「おじょうに連絡しときます。」

「くくく、楽しい事になるな。」


飲み会開始時、俺の横には・・・

「はい、ゆうちゃん、ついであげるね。」

チカちゃんがいた。

「なんで?飲み屋に中学生は不味くない?」

「ここ、おやっさんの息がかかってる所だから、大丈夫。それに保護者もいるだろ?」

「保護者?誰?」

「お前だよユウヤ。同じ家に住んでるだろ?ちゃんと送って帰るんだぞ。」

「じゃあ、俺の持ち帰りは・・・」

「ないな。」

「お前らは鬼か!」

「俺達はおじょうの味方なんだ、悪く思うなよ。」

せっかくの飲み会だが、俺はチカと話続ける。

「あのおじょう、自分にもついでもらえませんか?」

勇気あることにタクミがおじょうに話しかけてきた。

「タクミくん?これでいい?」

「ありがとうございます。ささ、返杯を。」

「えっ、あ、ありがとう。」

「さあ、グイッと。」

チカは促されるまま見た目オレンジジュースの飲み物をのんだ。

「はれ?なんかフワフワする。」

「おじょう大丈夫ですか?」

「タクミくんだ、ゆうちゃんどこ?」

「えっ?」

「あっ、ゆうちゃんだぁ~」

チカがユウヤに抱きついた

「ゆうちゃん♡」

チカが頬擦りをしてくる。

「チカどうしたの?あれ、誰か酒のました?おいタクミ!」

「い、いや、このオレンジジュース違ったのかな?」

「チカにのませるなよ!おいチカちゃん大丈夫?」

「だいじょーぶだよー♪ゆうちゃんダッコして。」

「大丈夫じゃないな、おい、シン!俺はチカちゃんを送って帰るから、後は頼むぞ。」

「おう、支払いは任せた~」

「あー先に払っておくから適当に飲んで帰れよ。」

「大将、俺の名前で支払いつけておいてくれる?」

「ユウヤくんの名前だね、毎度。これからも酒とかの注文OKかい?」

「あーOKです。飲ましてやってください。」

「あいよ、お前ら死ぬ気で飲めよー!」

「おー!」

「たいしょー!」

「いいじゃねぇか、あとタクシー呼んでるからもう少し待ってな。」

「ありがと、ほらチカちゃん立てる?」

「立てない、ダッコして♡」

「もう、仕方ない。」

俺はチカをお姫様ダッコした。

「にゃあ、ゆうちゃん♡」

チカは頬擦りしてくる。

「おっ、二人とも仲いいね、タクシー来たよ。」

「ありがと、行くよチカちゃん。」

「はい♡」

ユウヤとチカが抱き合いながら帰っていった。


「シンさん、あの二人なんで付き合ってないんですかね?」

「シュン、いらんこと気にするな。もう時間の問題だ。」

「何かあるんですか?」

「絶対どこかでおやっさんに媚薬盛られるぞ。」

「うわっ!ありそう。」

「チカちゃんが襲う可能性もあるよね。」

「エミいたのか?」

「シンが浮気しないように来たのよ。」

「くっ!先手をうたれた。」

「はぁ、これだから。」

「なんでみんな、ユウヤさんとおじょうが付き合う前提で話しているんですか!」

「へっ?」

「おじょうとユウヤさんの歳の差を考えてくださいよ!あり得ないでしょ!」

「おいおい、タクミさっきの見てもそれが言えるのか?」

「あれはおじょうが酔ってしまっただけでしょ、しかも、二人で帰して何かあったらどうするんですか!」

「喜ぶ。」

「祝い金でるんじゃね?」

「あーあり得る。おやっさんくれそう。」

「くっつけた奴はボーナス確定だな。」

「・・・信じられない、みんなはおじょうの貞操を何だと思っているんですか!」

「ユウヤくんの物」

「ユウヤが破るもの」

「シン生々しいな、おじょうがユウヤに捧げるものだな。」

「結局同じじゃん。」

「くっ!俺も送って来ます。」

タクミは外に出ていった。


「わかりやすいね~」

「叶わぬ恋か?」

「あんだけラブラブなの見せつけられて心が折れないのが凄いね。」

「シンさん、そんな端で飲まないでさあ、中央に。」

「おう!今日はユウヤの奢りだ!全員倒れるまで呑め!」

その日の飲み会は激しかった。

後日、ユウヤの元に来た請求書をあまりの額にユウヤは二度見するのであった。

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