第7話 本家につく
部屋に戻るとチカはドレスに着替え終えていた。
「おっ、チカちゃん可愛いね。」
「ありがと、ゆうちゃん♪ゆうちゃんも早く支度しないと。」
チカは俺のスーツを準備してくれていた。
「着替えるだけだから、早いよ。」
パッと着替えたところでネクタイが無いことに気付く。
「えーと、ネクタイは・・・」
俺は自分の荷物からネクタイを取ろうとするが・・・
「はい、ゆうちゃんこっち来て、ネクタイしめるから」
どうやらチカが持ってるらしかった。
「チカちゃん、自分でしめるよ。」
「いいから、やらして。」
チカはサッとネクタイをしめてくれた。
「チカちゃん上手いね。俺より綺麗に出来てるかも。」
「ありがと、さあ行きましょ。お父さんもうロビーで待ってるって連絡きたよ。」
俺とチカはロビーに向かった。
「二人とも来たか、迎えももうすぐ来るから、ここからは真面目に行くぞ!」
「おやっさん、最初から真面目に行きましょ?」
「それじゃ疲れるじゃないか。おっと来たみたいだ。行くぞ。」
人数のせいなのかマイクロバスが来ていた。
「お待たせしました。金子組の方ですか?」
「ああ、本家まで頼む。」
「かしこまりました。」
俺達が乗り込むと車は発進した。
「おやっさん、本家の情報が欲しいんですが?」
「おっ、ユウヤは初めてだったな。といっても俺達はかなり上納してるからな、デカイ顔してればいいさ。役割は銀次とカズマは護衛の間に控えてもらう。俺とシン、ユウヤ、チカは親父に挨拶に向かう。基本話すのは俺だ、みんなは聞かれたら答えるだけでいいからな。」
「はぁ、もっと詳しい情報が欲しいけど、時間がなさそうですね。」
車が豪邸についたようだった。
「じゃあ、打ち合わせ通りに。」
銀次、カズマを置いて奥にむかう。
「親父、御無沙汰しております。」
「おう、平八郎来たか。元気にしておったか?」
「はい、お陰さまで、息災に生活させてもらっております。これは挨拶にございます。」
おやっさんはアタッシュケースを渡す。
「いつも、すまないな。お前からの上納金のお陰でうちはなんとかやれておる。どう感謝すればよいか。」
「ありがとございます、自分は親父には育ててもらった恩がありますのでこれぐらいはなんでもありません。それより、今後もよろしくお願いいたします。」
「うむ、まあ、生臭い話は後でするとして、チカちゃん大きくなったな。」
「はい、ナリモトさまのお陰です。」
チカは頭を下げる。
「そんな堅苦しい事はせんでいいぞ、昔のようにおじいちゃんと呼んでくれんか?」
「そんな、失礼なこと出来ません。」
「いいんじゃ、ワシが許可するからな。」
「では、おじいちゃん♪」
チカは笑顔で呼んだ。
「はう!」
ナリモトは胸を押さえ倒れた。
「親父大丈夫ですか!」
「だ、大丈夫だ。平八郎、チカちゃんはいつ広島に住むようになる・・・」
「いえ、そんな予定は・・・」
「なんでじゃ!広島のほうがお主のとこより都会じゃし、学校もたくさんあるぞ!なんなら紹介してやるから好きな所を選んでもよい。」
「娘は田舎にいることを好んでますので・・・」
「なぜじゃ!おじいちゃんが好きなもの買ってやるし、ワシが選び抜いたイケメンも用意してやるぞ。」
「お、おやじそれはまずい・・・」
「おじいちゃん、私をなんだと思っているのですか?」
「チカちゃん?」
「私はイケメンなんて入りません!私は好きな人が1人傍にいてくれるだけでいおんです!」
「だから、ワシが選んで・・・」
「私の好きな人は私が決めます!それに・・・」
チカはユウヤをチラチラ見ていた。
「と、とにかく、私は広島に来たりしません。地元の高校行って、お嫁さんになるんです!」
「大学はどうするんじゃ?平八郎の地元にはなかったじゃろ?」
「お嫁さんになるのに学歴は入りませんから、早くお嫁さんになって彼を支えてあげたいんです。」
「だ、だめじゃ~チカちゃんはワシが大人になるのを見届けたいんじゃ」
「おじいちゃん、ワガママ言わないでくださいね?私は私の好きな人と一緒に大人になって行きますから。」
「チカ~」
「親父、この話はここまでに・・・」
「ゴホン!仕方ない、平八郎あとで話があるからな!」
「はい・・・それで、後ろの二人を紹介してもよろしいですか?」
「おう、すまんかった、ほれ、自己紹介してみろ。」
「お初に御目にかかります、手前、狂犬のシンと呼ばれている、チンケな極道にごさいます。縁あって、平八郎親分に盃を頂戴し、子分となりやした。以後お見知りおきを。」
「おーお主が狂犬のシンか、話は聞いておるぞ、平八郎、倉田に続き強者が続くのう、羨ましい限りじゃ。」
「ありがとうございます、あともう1人はチカの婿のユウヤと申します。二人は相思相愛なれば引き離す事のないようにお願いいたします、あっあとうちの稼ぎガシラです。」
「おやっさん、なんか違う!もっと稼ぎガシラをアピールして!」
「ふふ、ゆうちゃん照れなくても♡おじいちゃん、この方が先程お伝えした一緒に大人になっていく方です。」
「・・・おぬしがチカをたぶらかしておるのか!」
「たぶらかしていません!」
「そうですよ!真剣にお付き合いしているのです!」
「チカちゃん!」
「クッ!平八郎、この男を本家に預けてくれんか?こんな弱そうな漢にチカちゃんを任せられん、鍛え直してくれる!」
「その件は平に御容赦を。この男が我が組を経済的に支えているのです。そして、シンの親友でもありまして。次世代の代表と考えております。」
「なに、お前の組の経済を?ホントか?」
「はい、此度の上納金もこいつが稼いだ物にございます。」
「ますます欲しいのう、どうだ?ワシの盃をやるから本家に来んか?」
「嬉しい申し出ですが、どうか御容赦を。自分未熟者ではございますが受けた恩を返さず立ち去るを恥と思います。金子組組員として本家に尽くす所存ではありますが、本家に移籍の件はなにとぞ御再考を。」
俺は身をただして頭を下げる。
「うむ、見事な忠誠心だ、仕方ない、今後も金子組として本家に尽くしてくれ。」
「はい、全身全霊で尽くす事をお誓いします。」
こうして俺達の本家挨拶が終わった。
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