盃をよこせ!子分になりたい俺、としたくない親分!
カティ
第1話 盃欲しい
組長室
「おやっさん、今月の上納金です。五千万、お受け取りを。」
俺はユウヤ、今おやっさんに上納金を渡した。長年続く金子組の見習いだ。
同期の奴等は既に組員になっているのだが・・・
「ユウヤ、今月もご苦労さん♪」
「・・・おやっさん、それだけですか?」
「なんだ?何かいるのか?娘ならやるぞ。」
「誰がチカちゃんを欲しがった!あの娘はまだ中学生だろ!それより盃だよ、盃をよこせ!」
「やだ♪娘ならやるが盃はなぁ~」
「てめぇ、いい加減俺も怒るぞ!」
「怒ってるじゃん♪それでもダメなものはダメ!」
「一体どれだけ貢献すればくれるんだよ!」
「だから、娘で我慢しろよ。」
「娘と盃は違うだろ!それに娘をもっと大事にしろよ!」
「うーん、大事にしてるよ。」
「あーもういい、力づくだ!机の中にあるのは知ってるんだ!」
「なんだ、謀反か!くーらーたーユウヤが暴れだした!」
舎弟筆頭にして、おやっさんの親友、暴力の塊、倉田があらわれ、ユウヤの首を掴む。
「ユウヤ、親に歯向かうとはどういうことだ!まだ教育が足りんな!」
「い、いや、倉田さん、そんな歯向かうなんて・・・ただのジャレアイですよぉ~」
「うう、組長の威厳が損なわれたよ。」
「こら、おっさん!嘘泣きはやめろ!」
「ユウヤ、口の聞き方から勉強がいるな。」
「倉田さん、クビ、クビ絞まってる。」
「大丈夫だ、死なない程度にしてやる。」
「ギブ、ギブ、ヘルプー」
同期の仲間は目をそらす。
「仲間が熊に殺される!たすけて~ポパ~イ。」
「お前はまだ余裕があるみたいだな、特別にワシが組手をしてやるからな。」
「そこまでだ!」
助けにきてくれたのは俺の親友シンだった。
「シン忙しいからあとにしろ!」
「おのれクッパ!ピーチ姫をはなせ!」
「誰がクッパだ!」
「誰がピーチ姫だ!」
「行くぜ、ドロップキック!」
シンのドロップキックが俺に命中!
「ぐはっ!ま、的が違う!」
「くっ!卑怯な!ユウヤを盾にするなんて!」
「お前らふざけているのか!まとめて相手にしてやる。ついてこい!」
シンは倉田について行くが・・・
「ふぅ~危なかった!」
俺は逃走した。
「さて、どこに隠れるか・・・」
隠れ場しょを探していると、おやっさんの娘、チカを見つけた。
「チカちゃん、いいところに!」
俺はチカの手を握り、
「お願いがあるんだけどいいかな!」
「う、うん、なに?」
「チカの部屋に入れてくれない?」
「えっ!そ、それって、二人きり・・・」
「他の人は入って欲しくないから、早くここは危険なんだ!」
チカは深呼吸して。
「う、うん。いいよ。」
部屋に案内してくれた。
「これで一安心。やっぱりチカの部屋は落ち着くな♪」
「そ、そう、今お茶入れるから。」
「ありがと~優しいのはチカちゃんだけだよ~」
「そ、そうかな?」
「そうそう、シンの奴は蹴ってくるし、倉田さんは俺を折檻してくるしさ。」
「その二人と比べられると微妙かな?はい、どうぞ。」
チカは苦笑いをしながら紅茶を入れてくれた。
「うん、紅茶がおいしい。」
俺は入れてくれた紅茶を飲みながら久しぶりに入った部屋を見回す。
元々俺はチカちゃんの護衛をしていた事もあり、仲良しだった。その頃は勉強も教えていたのだがチカちゃんが優秀過ぎて教えることがなくなってから部屋に入ることはほとんどなかった。
「この部屋に入るのも久しぶりだね。」
「ゆうちゃんが来たいのならいつでもいいよ。」
「ありがと、たまには逃げ・・・匿って・・・遊びに来るよ。」
「はぁ、今日来た理由がわかったよ・・・何したの?」
「おやっさんを襲撃したら倉田さんに殺られそうになった。」
「・・・何してるの?」
「だってさ、まだ盃くれないんだよ、ヒドクない?」
「ははは、無理に極道にならなくても。」
「いや、俺は極道になるんだ!それにヒドイんだよ、おやっさん盃やらないけどチカちゃんならやるとか言ってさ。娘をなんだと思ってるんだか。」
「・・・いいお父さんもって嬉しいな。」
「チカちゃん?」
「ううん、お父さんヒドイよね、私からも言っておくね。」
「お願い、ついでに盃貰えるように頼んでよ。」
「それはダメ、ゆうちゃんは堅気のほうが似合ってるよ。」
「そんなぁ~~~」
「どこだ!ユウヤ!」
廊下で倉田の声がする。
俺はビクッとなる。
「倉田さん、アイツの事だ、お嬢の部屋に隠れてるに違いない!」
シンの奴が俺の行動を教えていた。
「なんだと!またか!間違いが起こる前に踏み込むぞ!」
「お供しやす!」
「ま、まずい、奴等がくる!」
「ゆうちゃん落ち着いて。」
「こうなれば!」
俺はベッドの中に隠れる、ベッドには大きなぬいぐるみがあるのでその後ろなら膨らみもばれまい。
「あっ!」
チカは止めようとするが部屋をノックする音が聞こえてきた。
「な、なにかな?」
「ユウヤが来てるだろ?引き渡して。」
「き、きてないよぉ~」
「お嬢、顔が赤いですよ。」
「元々です!」
「ユウヤ!出てこい、さっさと出てこないとヒドイ事になるぞ!」
「倉田さん!ゆうちゃんにヒドイ事する気ですか!」
「い、いや、違うんだチカ。」
「いつも言ってますよね、ゆうちゃんをいじめないでって!」
「これは・・・そう教育なんだ!なあシン。」
「そうそう、逃げ出したお仕置きですよね、倉田さん。」
「シン!」
「倉田さんなんか嫌い!どっか行ってよ!」
チカが扉を閉めた。
扉の向こうには崩れ落ちた倉田がいた。
「ゆうちゃん、もう大丈夫だよ。」
チカがユウヤを見るとユウヤはぬいぐるみの後ろで寝息をたてていた。
「ふふ、寝ちゃったんだ、あんな事の最中なのになぁ~♪」
無防備に寝息をたてるユウヤをニコニコ眺めていた。
一時間後、
「ゆうちゃん、そろそろ起きて、晩御飯の時間だよ。」
俺が起きると目の前に慎ましやかなチカの胸があった。
「なっ!」
よく見ると俺はチカに膝枕をされていたのだった。
「おはよ、ゆうちゃん♪可愛い寝顔でしたよ。」
「やめてよ、恥ずかしい。ごめんね、ベッドが気持ちよくてつい寝ちゃったみたい。」
「ほら、居間で食事の時間だよ。いこ♪」
「俺はチカに手を引かれるまま、居間に向かった。」
二人で居間に入るとシンが・・・
「おやっさん、1時間20分です。どう思いますか?」
「俺はシタに一票入れたいな。」
「おやっさん、甘いですぜ、シタならお嬢の表情がもっと赤いか今頃風呂ですぜ。」
「さすがシンだな、いい読みだ。」
「任せてください。」
「おやっさん、シンなんの話だ!」
「えっ、娘が大人になったかどうかの話し合い。見ろよ半数はシタに票を入れたぞ。」
ホワイトボードにシタ15票、クチ7票、おさわり3票、してない5票に分かれていた。
「それでどうなんだ!」
「してないよ!なんでみんな何かしてると思ってるんだ!チカちゃんがそんなはしたない真似するわけないだろ!」
「・・・どうなんだ、チカ?何かしたか?」
チカは顔を赤くして、
「・・・知らない!お父さんのバカ!」
怒って居間から出ていった。
チカという盾が無くなった俺は・・・
「よくも逃げたな、これから組手だ、喜べ。」
倉田さんに捕まり強制組手で動けなくされた。
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