フリードリヒへの転生と家族たち

 中世ヨーロッパに転生したと思われる私は、周囲の人々が話している言葉が分かる様になって、漸く状況を理解し始めていた。

 私が転生したのは、ニュルンベルク城伯フリードリヒ5世の次男フリードリヒらしい。

 ニュルンベルク城伯は、後のプロイセン王家となるホーエンツォレルン家が治めており、私が転生したフリードリヒは後にブランデンブルク辺境伯となり、ホーエンツォレルン家がプロイセン王となる切っ掛けを作った人物である。

 しかも、私が転生したフリードリヒは、私がやっていた中世ヨーロッパのゲームの敵役の親玉であるハンガリー王ジギスムントに仕えていた。

 フリードリヒはジギスムントからブランデンブルク辺境伯と選帝侯位を賜るのである。フリードリヒからの莫大な借金の返済の一部としてだが。


 私はゲームをしながら、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ1世のことを考えていたからか、気付けばフリードリヒに生まれ変わってしまったらしい。

 そんな訳で、ニュルンベルク城伯フリードリヒ5世の次男フリードリヒとして生きることにした。


 フリードリヒの家族構成は、父がニュルンベルク城伯フリードリヒ5世、母はマイセン辺境伯フリードリヒ2世の娘エリーザベトと四人の姉と兄一人である。

 母はマイセン辺境伯フリードリヒ2世の娘と言うことで、かなり名門の血筋であった。母の出身家のマイセン辺境伯家は後にザクセン選帝侯となり、ザクセン王家となる。

 四人の姉は、それぞれの姉は名門帝国諸侯に嫁ぐはずだ。長女のベアトリクスとは16歳も年が離れている。この時代では、私くらいの子供がいてもおかしくない年齢だ。

 兄のヨハンは2歳上であり、兄は後に私が仕えるハンガリー王ジギスムントの異母兄であるヴェンツェルに仕えることになる。ヴェンツェルは、私がプレイしていた中世ヨーロッパのゲームで名前だけは出てくる幽閉されているボヘミア王だが、この頃は神聖ローマ皇帝カール4世が存命であるため、ボヘミアで皇子として過ごしているはずだ。


 父のニュルンベルク城伯フリードリヒ5世1357年にニュルンベルク城伯の地位を継いだことで、帝国にとって戦略上重要な皇帝の城であるニュルンベルク城の保護責任を負うこととなった。

 父は神聖ローマ皇帝カール4世に仕えている。父には類稀な領地経営の才能があり、自らの所領の境界を越えて帝国業務を遂行していた。皇帝に対する務めとして、フランケンのラント平和同盟の先頭に立ち、カール4世から帝国の指揮官に任命されている。その後、エルザス(アルザス)やオーバーシュヴァーベンの代官にも任命されることとなる。

 父の皇帝に対する働きは、カール4世に大いに評価され、私が生まれる前の1363年に、城伯(子爵相当)としては初めて、帝国諸侯の身分の特権を与えられた。金印勅書の形で、ホーエンツォレルン家が帝国諸侯の一員であることを保証し、選帝侯など昔からの帝国諸侯と同様の特権を享受することを許されることとなる。


 ニュルンベルク城伯は爵位自体は低く、帝国諸侯に抜擢されたばかりなものの、父は神聖ローマ皇帝カール4の下で辣腕を振るっており、そんなニュルンベルク城伯フリードリヒ5世の息子として、卒無く生きて行くこととにすることを心に誓った。

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