ヒーローになるためには1
誰が決めたのか、この世界には悪と正義が存在する。悪という汚名を被せられた者、正義と呼ばれる美名を与えられた者。
彼等の紡いだ理想や成したことは、常人には理解できないものかもしれない。しかし、彼等は確かに存在していた。
相反する力、彼等の想いはやがて一つの結果を生む。私はそれを温かく見守ろうと思う。例えどんな結果になろうとも。
これはヒーローを志す少年の英雄譚である。
昨今の日本では、犯罪の増加を伴い治安の維持のために一人のヒーローと呼ばれる人物が現れた。
しかし、彼は非力であった。暴力を振るわない、言葉で解決しようとする姿勢。
彼は人としては、とても素晴らしい人物であろう。だが、それは無茶というものだ。
暴力を振るわない?言葉で解決?そんなことは無理だよ。そんなことができれば苦労はしない。
でも、普通は上手くいかないハズであるが、彼の人柄や魅力に次第に仲間は増えていき、功績を次々に挙げていった。
やがて彼は有志を募り、ヒーロー会社を設立した。誰も傷つかない優しい世界を作るために。
しかし、彼は志半ばで倒れる。誰もが彼のことをヒーローとしての能力が低いと言う。才能がないから死んだんだと。
彼のような犠牲が生まれぬようにヒーローは実力主義となり、ヒーローの選定基準は厳しいものとなった。
彼が死に二年が経過した。世界は未だに暗雲が垂れ込める。
だが、長い冬が終わり、暖かい春が来たと言わんばかりに若い芽が芽吹き始める。
しかし、悪の芽も増えつつあり、世界は英雄的ヒーローを求めている。
ヒーローは気の力、所謂、気力で戦う。気を身に纏い身体能力の向上や具現化することが可能。
さあ、さあ、お立ち会い。これよりヒーローを志す少年、
ではでは。オープニングはここまで、原初のヒーロー本編開場です。
癖っ毛の目立つ少年がベッドでいびきをかいて寝ている。
「ヒーローは遅れてやってくる…むにゃむにゃ」
幸せそうに寝言を言いながら少年は寝返りを打つ。
「かなたー、かなたー。早く起きなさい。今日は面接の日でしょ」
下の階から少年の母親である
少年は母親の言葉に反応し、飛び起きた。
「むにゃ!?ヤバッ、今何時だ?」
時計を確認すると、急いでスーツに着替え、朝食を済ませる。
忘れ物がないかチェックをして玄関で母親から声援を受けて家を出た。
高校を卒業した僕は、やっとヒーローになれる。そう意気込んで、面接を受けるためにヒーロー界トップの会社である全知全能の本部へと足を運んだ。
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