報われない僕ら
@ho_6309
第1話
「ねえ、人生っていつかさ、これまでの辛いことの分幸せなことが怒ると思う。」
その時あいつがどんな表情をしていたかなんて俺はまだ知らない。ただ、知っていることはあいつが死にたがっていて、ほんとに死んでしまった。ということだ。
あの時、あの質問になんて返すのが正解だったのだろう。正解なんてなかったかそもそも求められている訳じゃなかったかも知れないけど。
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「なあ、お前に用があるって女子が来てるよ。」
ある日の放課後、僕に用事があると言って1人の女の子が来た。ほわほわとした子だった。学年も名前も分からないその子をどうしたらいいか分からずに、僕は下を向いていた。
「先輩、顔を上げてください。今日の放課後、今から暇ですか。」
ほわほわとした顔立ちに似合わないキリリとした表情を浮かべ女の子はそう聞いてきた。
「まあ、一応。暇だったら何かあるの。」
「ちょっと、着いてきて欲しいところがあって。」
じゃあ下駄箱で、と僕の返事も聞かずにその子は教室を後にした。仕方がない。冷やかしの声を背に教室を出ていった。
ーーーーーーー
「来てくれたんですね。」
「そりゃね。ていうか君名前は。」
僕が来たことを意外に思っているような驚いた顔をしながら女の子は答えてくれた。長谷川と言うらしい。
長谷川は名前を言うとしばらくの間僕の顔をじっと見つめてきた。顔は整っているだけに流石にこちらも反応に困る。
「いや、急に黙るなよ。」
何故か不機嫌になった長谷川は僕を無視して歩き出した。ついて行った方がいいのか、と悩みもしたがとりあえず、ついて行ってみた。
「ここです。」
報われない僕ら @ho_6309
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