星の叫び

ヤグーツク・ゴセ

       星の叫び

深い深い夜だ。星がもえているように輝いている。

彼らの叫びが聞こえるかい?お父さんはよくそんなことを口にした。お父さんは夜空を見上げるのが好きだった。僕には叫びなんて聞こえなかった。黒い黒い闇のように見えるし青空の延長線上にも見える。彼らとは星達のことだろうか。僕にはわからなった。



今日も夜空を眺めながら耳を澄ます。叫びは聞こえない。なんの星座かもわからない星々をじっと眺めているだけだった。宇宙の広さを想像して僕の小さきを知る。星々の叫びは聞こえない。静かだ。遠くから踏切の音がするだけだ。星々が僕たちを見ているのか。そんなことを思う。お父さんの目にはどうこの夜空が映っていたのだろう。本当に存在しているのか、あの星々は。星がなければ僕たち暗闇を過ごすことになる。星は僕たちの希望の光だ。暗い闇でも、 僕らが進むべき道を記してくれるように。


   メッセージ。


僕の目には叫びが見える。聞こえはしない。彼らが残したメッセージ。今を生きる僕たちに残した数億年、数百億年前からメッセージ。暗くても僕らは道を探さなければいけない。

やけに今日の夜は静かだ。風の音も聞こえない。深い深い夜だ。

お父さんもあの光の一筋なのかもしれない。




    メッセージ。それは叫び。

        彼らの。



数十年後



なぁ。聞こえるか?星の叫びが。僕は息子に聞く。僕はまだ明確な答えを見つけられていない。何億年前の光、何億年前の光を見ても叫びは聞こえない。最近は一つ一つの光が感情を表しているように思う。息子は戸惑っている。息子もわからないのだろう。いつかの僕のように。今の僕のように。

お父さんも答えを見つけられていなかったのか。答えを知っていたのか。今となってはどうでもよい。答えなんかないのかもしれない。吸い込まれるような暗闇をただ、ただ見つめる。星の叫びを感じる。星の叫びは自分の中にある。そんな気もする。僕にとってのお父さんも僕の記憶の中で生きている。お父さんが星の光の一筋であるなら僕の記憶の中に星の光はある。宇宙はある。夜空はある。



    答えは貴方の中にある。

     夜空を見上げてほしい。

       星の叫びは聞こえている。

           

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

星の叫び ヤグーツク・ゴセ @yagu3114

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ