第29話 くっころ女騎士将軍♡


「ぐっ、まさか……役立たずのガラクタが……寝返るだけでなく、あれほどの力を……おのれぇぇえええ!!」


 十体の巨神兵を配備させていた帝国軍だったが、巨神兵は全滅した。

 それも全ては、クエイクの力によるものだった。


「ぬわははは、言ってくれるのだ。儂らの仲間にして、儂の愛おしい旦那様をガラクタ呼ばわりなどな」


 薄暗い地下牢にて、鉄の鎧も衣服も下着に至るまで全てを奪われて、四肢を鎖で繋がれて捕えられているのは、帝国軍が誇る若き女将軍。


「呆気ないものだな。こうしてしまえば、あの豪傑と恐れられたハーラム女騎士将軍も、ただの若い乙女だな」

「ッ、ぐっ、……チヴィーチ……クロース……魔界の三姉妹姫が……」


 腰元まで伸びる銀色の髪。

 端正でキリッとした美貌。

 全体的に細身ではあるが、引き締まった筋肉から繰り出される武の力は、魔王軍でも恐れられていた存在。

 しかし、裸にして身動きも封じてしまえば、ただの女。

 むしろ、この世の男の誰にも未だ触れられていない白い肌、と柔らかな膨らみのある胸や尻は、「元々女好き」だったチヴィーチも思わず涎を垂らして全身を舐め回して味わいたくなるほど極上な肉であった。


「くっ、殺せ」


 ただ、裸と言ってもさらけ出しているのは「下腹部以外」の胸などである。

 下腹部には固く閉ざされた「鋼鉄の貞操帯」が装着されて、簡単に外すことが出来ない。

 それもあってか、最後の一線だけは守れるという気持ちからか、ハーラムは、決して弱みを見せなかった。



「命乞いなどせぬ! 辱めを受けるぐらいなら、死んだ方がマシ! 殺すなら殺すがよい! 我は決して屈しはしない! 我は誇り高き帝国将軍の一人! 気高き戦士なり! たとえこの身が辱められようと、誇りだけは決して失わぬ!!」



 たとえ敗北し、裸にされて無力化され、しかしそれでも反逆の牙を向ける強い心を持ったハーラム。

 敵とはいえ、戦場では同じ将としての立場であるチヴィーチたちも「見事」と賛辞を贈るほどの存在でもあった。

 しかし……


「殺しはせぬのだ。貴様には色々と話してもらわねばならぬことがあるのだ……それに、褒美にもなるしな♥」


 悪魔の笑みを浮かべるチヴィーチ。

 その口元、その瞳、その表情は「どんな残酷な手を使ってでも」と物語っていた。

 しかし、そんなもので揺らぐハーラムではなかった。


「くだらん……拷問などで、仲間や国を売る我だと思ったか?」


 どれほど痛めつけられようとも、自分の心は折れたりはしない。

 そんな鋼の意志をハーラムは持っていた。

 しかし……



「ぬわははは、知らぬのか? ハーラムよ。この世のあらゆる物質を砕く『超振動』は、貴様の鋼も簡単に砕くことが出来るのだ♪」


「な、なに?」


「システィア~♪」


「システィア? っ、末妹姫まで……ふん、憎き三姉妹姫がこうして雁首揃えて並ぶとは壮観だな……この戒めさえなければ、その首に噛み付いてでも殺してやりたいというのに……」



 チヴィーチの言葉の意味が分からずに眉を顰めるハーラム。

 そして、システィアは哀れんだ表情で笑みを浮かべ、そしてチヴィーチはご機嫌な表情でシスティアを呼ぶ。

 すると……



「ほら、小僧。しっかりしろ……もう少しでスッキリさせてやる」


「ううう、ぐっるうるる、ぐる、うぅぅ」



 呼ばれて、システィアに付き添われて現れた、正気を失った一人の男。

 息荒くして、その表情は熱で紅潮して異常な目をしている。

 その男こそクエイク。

 それは、十体を超える巨神兵を打ち倒したことによる副作用。


「なっ、き、貴様……なぜ……なにをするつもり? いや、様子が……ッ!? な、なんだ、そ、それは!?」


 突然連れてこられたクエイク。その正気を失って激しく唸っている姿に戸惑うハーラム。

 そして、彼女はすぐにあることに気づいた。

 それは、クエイクのスーパービンビンマウンテン。


「ひっ!? な、でか……ではなく! 貴様、我にそのような下賤なものを向けるとは何事か! 恥を知れ!」


 顔を真っ赤にして激怒しながら、明らかに狼狽えた様子を見せるハーラム。

 そのウブな様子を見ただけで、チヴィーチはハーラムが未経験の処女であることを察し、余計に機嫌よさそうに笑った。 



「んもぅ、お姉様……クエイクのスーパービンビンマウンテンのお相手は私の役目ですのに……」


「ぬわははは、良いではないか。儂とて、我慢しているのだ。今日は絶大なる武功を上げた旦那様への褒美が優先……まぁ、旦那様のスーパービンビンマウンテンと振動技が『こういうこと』にも使えるのかも後学のために知っておきたいというのもあるが……」


「でも……」


「ほれほれ、儂らはとっとと退散なのだ」



 不満そうなクロースの背中を押し、システィアと共に地下牢から出ていこうとするチヴィーチ。

 取り残されるのは、ハーラムと正気を失っているクエイク。



「ッ、ま、待て! どういうつもりだ? こいつに何をした? 何を、何だ? 何をする気だ!」



 何をする気だ? と問わなくても、ハーラム自身が「ナニ」をされるか分かっている。

 しかし、悲鳴にも似た叫びを上げてしまう。



「ぬわははは、では牢の外で見させてもらうのだ♡ その鋼が果たして……何分崩壊せずにいられるか♪」


「ッ?! き、貴様ら……貴様らぁぁぁ!!」



 チヴィーチのいやらしい笑みを見て、抗えぬと察したハーラム。

 だが、ハーラムは悔しそうに唇を噛み締めながらも、懸命に睨み返す。

 途方もない殺意を込めて睨み返す。


「慈悲もないか……貴様等……全員地獄に落ちろ」


 呪いのような言葉を吐き捨てることでしか抵抗できない。

 しかし、それでもハーラムは己の精神と心を更に強固に固めて……



「やるならやれ……だが、何度も言わせるな? たとえどんな辱めを受けようとも……我は決して―――――」


「うがああああああああああああああああっ!!!!」


「ッッ!!??」


――ブルブルブルブルブルブル♡♡♡♡♡



 その固めたはずの鋼はすぐに粉砕されることになる。






――あとがき――


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