第28話 奪還・蹂躙・凌辱

 魔族の奪われた領土を取り戻すための戦い。

 人類の帝国軍が領土として占領していた、かつてオーク族が治めていたレイブレイーブ砦の奪還は終わった


 熾烈を極めた戦。

 勝鬨を上げたのは魔王軍。


 しかし、実際の所はギリギリであった。

 既に半壊していた魔王軍に対し、砦の中の人間の兵たちの数はそれ以上に居たからだ。

 もし、その兵たちが一丸となって雄叫びを上げて魔王軍を取り囲んだり、もしくは徹底抗戦や籠城戦をすれば、魔王軍の勝ち目はなかったのだ。


 しかし、そうはならなかった。


 銀百合乙女騎士団の巨神兵全滅。

 女騎士将軍ハーラムの敗北。


 このあまりにも大きすぎる存在の敗北と損失、そしてショックは計り知れず、砦に居た全ての兵たちの戦意が戻ることは無かった。


 そのため、砦の城門はアッサリと砕かれ、魔王軍は砦内になだれ込んだ。


「うらぁ! 殺せぇぇ! オラ、奪え!」

「取り戻せ、ぶひひひひ、俺らの故郷! 俺たちの砦を!」

「失せろ、邪魔なクソ人間どもがぁ!」


 復讐豚。元々この砦に住んでいたオークたち。先ほどの戦いで多くの同胞を失ったこともあり、怒りに任せて砦の中に居た、既に戦意のない人間たちを次々と容赦なく殺していく。


「ひ、やめ、降伏します! どうか、慈悲を!」

「お願いします、私には、帰りを待つ家族が、ぶぎゃっ!?」

「や、やめろぉ、うわ、うああああああ!」


 砦の中は一瞬で人間たちの悲鳴が次々と響き渡り、至る所に断末魔や潰れる肉の音、血の匂いが充満していく。

 さらに……


「へへへ、おい! さっさと全員並べろ!」


 魔王軍の蹂躙は単純であった。

 男はとにかく殺す。

 そして女は……


「ぶひ、ぶひひひひ、これだ! これが楽しみだったんだ!」

「ほら、ケツ出せ、おら!」

「いいねぇ、巨神兵は恐ろしかったが……中身はこんな上玉揃いとはよぉ~」

「人間なんてクソ嫌いだけどよ、こんだけ可愛ければ使い道あるから、コレはコレってか!」


 敗北した銀百合乙女騎士団たちは砦の広場に集められ、その身に纏っていたプラグスーツを胸と下腹部の部分のみを破られた状態で、見せ物台の上で尻を突き出した状態で縛られていた。


「くっ……」


 屈辱的な態勢のまま身動き取れない美しく可憐な乙女たちの表情が、屈辱と恐怖で歪む。



「魔族め……醜いブタどもめ……我らをどうする気だ! もう、我らは降伏した! 貴様らには……貴様らにはわずかな慈悲も無いというのか!」


「ああん? なーに、都合のいいことを言ってんだよ。俺らの故郷をメチャクチャにして仲間を何百何千と蹂躙したクソ女どもが……本当だったら、全員グチャグチャの苦痛を与えて殺してやるところを、こうして生かしてやってんだからありがたく思えよ」


「な……っ……そ、それは貴様らも……」


「とにかくだ。お前ら全員俺らオーク族の怒り全てを受け止めてもらわねえとなぁ。そして……『減少したオークたちを増やす』ために……お前らも償いのために頑張ってもらわねーとな♡」


「あ……あ……嗚呼」



 今から何が起こるのか? 自分たちは今から何をされるのか?

 そんなこと聞かなくても一目瞭然である。

 そんな悍ましいことは耐え切れないと、騎士としての毅然とした誇りも捨てて、乙女たちは泣き叫んだ。



「ち、近寄らないで、いや、いやぁ!」


「許してください! 許して、許してええ!」


「たすけて、わ、私、経験ないんです! 初めて、初めては―――」


「あ、アヌルッ!? ひ、ひどい、アヌルは―――!?」


「まって、今日だけはやめて! 今日は危険―――!?」


「こ、この下衆共、うわ、うわああああ、地獄へ落ちろ! しね、死ねぇ、いや、いやだああああ!」



 だが、後悔してももう遅い。


 広場の乙女たちの悲痛な悲鳴は夜通し止むことなく続くことになる。

 


 そして、そんな彼女たちの身に起こっている悲鳴が聞こえぬ、砦の地下深くの牢獄に、一人の女が捕えられていた。


 

 敗北した銀百合乙女騎士団の団長にして、女騎士将軍ハーラム。



 その一人隔離されている彼女の元へ、三姉妹姫は薄暗い階段を下りて向かっていた。

 意識を失った一人の男をシスティアが背負って……



「なぁ、姉上。なぜ小僧まで連れていく? こんなに熱くなっているのだから、まずはさっさと相手をしてやればよいのに……というより、その、わらわの背中に……小僧のモノが……グリグリとあたって押し付けられて……」


「そうです、お姉様! 戦後処理はお姉様にお任せしますので、私に早くクエイクとスーパービンビンマウンテンさんのお世話をさせてください!」



 ハーラムとの戦いで全てを出し尽くして、今度こそ意識を失って副作用を発動中のクエイク。

 一刻も早く前回のように処理しなければと、クロースが志願する。

 しかし、チヴィーチはニタニタとして……


「まぁ、待つのだ。少々試したいこともあるし……英雄となった旦那様には戦の褒美もくれてやらんとならんのだ」


 いやらしいその微笑み。戦の直後は恋する乙女のような表情だったのにすっかり元に戻ってしまった姉に二人の妹は溜息を吐く。

 一体何を考えているのか?

 すると……



「そもそも、儂もクロースも、これからも副作用関係なしに旦那様とブルブルするであろう?」


「え? ええ……私はいっぱいこれからも……」


「儂もなのだ。となるとだ、いつも儂らとブルブルしておっては、旦那様も飽きるかもしれぬし、褒美にならぬではないか」


「そ、そんな……」



 愛する男に抱かれる。それを飽きられてしまう。その言葉にクロースは不安そうな顔を浮かべる。

 だが、そこでチヴィーチが考えた褒美は……



「そこでなのだ! 本当は儂が喰いたかったが……今回の戦は全て旦那様の手柄。ゆえに、一番美味しい褒美は……旦那様に喰わせてやろうと思ったのだ。ブルブル副作用の処理も含めて♥」


「「あ……ああ……そういう……」」



 チヴィーチの目的がようやく分かった妹二人。しかし、それでももう一度溜息を吐くしかなかった。







――あとがき――


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