異形な愛

野口マッハ剛(ごう)

第1話 歌声で目覚める

「恋とは 愛とは 退廃なものだ」

 ボクははっきりとその歌声で目覚める。ここはどこだろう。ボクは地面の上で寝ていたようだ。周りを見てみる。ここは……廃村? わらぶき屋根や瓦屋根などが確認できる。ボクはちょっとの間、ぼんやりとしている。そういえば、ボクは記憶が全く思い出せない。なんだろう、この灰色と茶色の廃墟たちは。空は真っ白だ。この廃村と思われる所の周囲には森が。この位置からだと恐らく廃村の中心でちょっと地面が高い。この廃村はちょっと広いだろうか。向こうから、ひとりの女性が近付いてくる。ボクはその女性を見る。と同時にまた歌声が聞こえる。どこからともなく。

「もう 世界は ない。その手を離さないで」

 すると、廃墟の中から異形の人のようなものが出て来始める。ボクは全身が恐怖に支配される。いったいここはどこだろう。女性はボクの前に立つ。こうボクに言った。

「おいで、私の家なら大丈夫だから」

 ボクは彼女のあとを走って追いかける。いったいなんなんだ。廃墟の家からも、異形の人のようなものが追ってくる。ボクは助かりたい思いで彼女の家らしき廃墟に入った。すると、異形の人のようなものはどこかへと去っていく。

「ねえ? ここはどこなの? ボクは誰なんだ?」ボクは汗が止まらない。

「それは、わからない。私も自分を知らないから。あの異形らしき人たちは、私の家にある特別なお守りで入ってこれないみたいなの。キレイな十字架よ。見る?」彼女は笑みを浮かべている。

 ボクは混乱している。どこなんだ、ここは?


続く

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