贅澤かれんの場合

 「…で、雨宮さんは誰が差出人だと思っているの」っと、とりあえず聞いてみますの口調で、小野は呟く。


本人にいうと嫌そうな顔するけれど、そういうところが、「科捜研の女」の所長さんにそっくりなんだよねって、理子は思いつつ、「やっぱり葛飾区民で、同じように、荒川区を通過する贅澤れいざわさん?」と上目遣いで小首を傾げつつ自信なさげに呟く。


 なにしろ、自分が男性陣の話題の中心にいないと気にいらない贅澤かれんさんは横浜女子大学を卒業しており、自分が命名したあだ名を書いた会社内の噂話の手紙を色々な男性に渡しており、走り書きの字とあだ名が暗号と解してて、皆様適当に話をあわしていると有名なお方なのだ。


 でも、理子の勘が、この人ならいつもみなさんに手紙を渡すように、その人の書類ケースの引き出しかロッカーに忍ばす気がして、自宅に配達が違うと囁いている。


 事実、小野もかれんさんが、理子のことを嫌っているのは否定しないが、直接本人にいうか小野にいつものように、早口の理子といても楽しくないんじゃないの?っていうだけな気がすると否定的である。


 確かに疑ってごめんなさいなのかと理子もうなだれる。


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