カード開封
食べっぱなしの食器をお湯につけて(翌朝洗う)、テレビをつけっぱなしで寝ている父の布団を整えたり、テレビと部屋の明かりを消したりの日常的ルーティンを上の空でこなして、自分の遅い夕御飯のおにぎりを食べる。
下駄箱のカードのことが気になりながらもエアコンの温度をあげてからシャワーを浴びて、髪の毛を乾かしながら走馬灯のように変化が早い理子の思考は録画した相棒を見るかカードを開封するかを悩む。
差出人のないカードの心当たりはどこにもない。心当たりは先日までの年賀状で連絡を全てとりあっている。
テーブルの上でロダンの考えている状態になって悩んでいるのを何も映してないテレビが鏡のようになって、教えている。
覚悟を決めて、下駄箱からは回収したカードを開封する。
封筒の下をテーブルでとんとんして、ハサミで開封してもカードを切らないことを確認し、封筒を開く。
表は赤い縁にサンタクロースとトナカイが描かれているどこにでも売っていそうなありふれたカード。
でも、開くと子供じみた字で思いもがけないことが書いてあった。
「早口で何を言っているんだがわからない。治せないんだったらいいんだけど…」
思わず、二度見、三度見してしまう。
通勤の途中駅の消印がおしてあるし、仕事関係者なのだろうか?
しかし、早口なのは確かに私の欠点だけど、友人関係者はだからこそ手紙やEメールで連絡してくれるわけだし、疑心暗鬼で長年私の早口を快く思ってなく、何か差出人が、嫌な思いをして、ここぞと私に長年の恨みをやつあたりしている可能性は考えたくないと頭を抱える。
仕事関係者にしても私は小野さん意外とは挨拶くらいしかしないし、こんなこと書かれるような陰口とか話した記憶もない。
仕事柄、報連相をしている上司にしてもこんなことするほどの暇人がいるとは思えない。
うーん…もしかして小野さん?
ううん、方向音痴の小野さんはこの駅のことを知らないし、一回この駅で途中下車して、ポストにカードを投函し、私にばれないように駅へ戻り、一緒に通勤なんて器用なことできないと思いたい。
そもそも、誰であれ早口が改善できるとは思わないけど、こんなカードより、ちゃんと伝えて欲しいと思う。
なにか知らない処で、誤解や嫌われてしまうことをわたしはしでかしたのだろうか?
そういうことをかんがえたら、相棒を見ることも寝ることさえも忘れて、ぬいぐるみをだきしめて部屋のよすみでまんじりともせず朝を迎えた。
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