15 小説のテーマのはなし

 リアルの仕事がいまちょっとなかなかアレです。たかぱしです。

[お知らせ:日曜日の時点でここにちょっと笑える職場のうりゃうりゃなアレを書きましたが、月曜出勤してみたら笑い事じゃない修羅場になっていたため――世界平和のために――削除しました]

 ……大丈夫かしらん。[大丈夫じゃなさそうだよ by翌日のたかぱし]


 まあ、このご時世、大変なのはみんな一緒だ。

 気にせず前回の続きを繰り広げます!


 小説の情報をタグでくっつけるとしたら、どんな情報がほしいか、という検証だ。

 いまのところ、

【ジャンル】【世界観】【舞台】【登場人物】

 を付けてみた。


 他に【テーマ】とかがほしい。

 テーマとは、その作品の主題である。主に扱う題材、または作者がもっとも伝えたいこと、でもある。いうなれば、作品のもっとも深い奥底を流れる一本の川。

 と言われて、ピーンとくるだろうか。

 私は、こないぞ(どーん)


 いやだって、テーマなんて。小説のテーマなんて、それこそ“なんでもあり”だ。

 そんな千差万別多種多様なものをタグで貼りつけて、それは分類の役にたつんだろうか、と思ってしまう。


 だから、ただ“作品のテーマ”とするのではなくて、どういう方向性でのテーマか、それをある程度定めておかないと、たぶん意味がない。


 で、それって、どんなのなんだろう。と考える。


[1時間半考えてまとまらなかったので、諦めてサクっと寝ました。週末に更新しなかったのは、つまりそういうわけです]


 ……寝ながら考えた。


 小説の多くに共通する要素ってあるんだろうか。

 小説の根底にあるものって、なんだろう。


 あるような気もするし、ないような気もする。


 仕事中に考え……るつもりだっけど、それどころじゃなかった。まあ、今日は真面目に仕事した。そしたら去年の領収証出てきた。そっと丸めてゴミ箱へ放り込んだ。見てない見てない。


 昨日から、なんとなく頭の片隅に引っ掛かっているものはある。

 ウィキペディアによれば「小説は作者が自由な方法とスタイルで、人間や社会を描く様式」

 コトバンクなら「散文で書かれた虚構の物語。ある程度以上の長さと複雑さをそなえ,想像力を用いて,ある特定の状況下で一群の人間がかかわる一連の出来事を通じて,人間の経験が描かれたもの」

 他の辞書に小説の定義を求めても、だいたい似たようなことが書いてある。

 この点について、おおよそ異論はないのではないだろうか。


 で、なにを言いたいかというと。

 小説というのは、「人間」あるいは人間が集まってできた「社会」を描くものだ、ということだ。

 登場人物が動物やモノや幽霊などの小説も、大抵の場合それらは擬人化されているから、まあ広義の人間である。

 そういう意味で、人間が出てこない小説は、ほぼない。

 もちろん、ゼロではないかもしれないけれど、でももしそういう小説があっても、それはちょっと特殊で、イレギュラーだと言っていいはずだ。

(過去に読んだ小説で人間の出てこなかったものがあるかどうか考えているが、今のところ心当たりがない。

 人間の出てこない小説をご存じのかたがおられましたら、ぜひお知らせください)


 だから、小説のテーマとして「人間のどんな側面を描いているか」がひとつあるのではないだろうか。

 人間の友情、愛情、成長。いろいろな関係性、感情。意志、使命。憎悪、狡猾さ、汚さといった負の側面。

 そんな括りでテーマをひとつ設定できないだろうか。


 できないかな。

「はあ? 人間? そりゃ人間は出てくるけど。そんな人間のどうのこうのなんてメンドーは書いてないよ。そんなの全然テーマじゃない」

 っていう人、いそう。まじでいそう。

 あと、“人間の側面”って言っても、ちょっとふわふわしていて、曖昧で、分かりにくい。なんのことだよ、と思う。

 今たぶん80%は伝わってないだろうな、と思っている。それが、一晩悩んだ部分なわけだが。


 しかし、ずっとこんなことを考えていても、しょうがない。

 とりあえず投げとくぜ。うぇーい。


 ちなみに。このテーマを『かっぱの彼方さん』でタグつけするとするなら。

 あれは、勇者と魔王の友情物語だったような気がするので。


【テーマ:友情】


 ややズレているような。いないような。

 もしそういうの関係なく【テーマ】を一個設定できるとするなら、あれはなにがテーマなんだろうか。…………珍生物、かな。未知との遭遇?


 テーマの設定は、どうも難問の気配がする。


 さて。こうしたテーマが作品の奥底を流れるものであるならば、逆にもっと表層を漂うもの、物語の中心でになる要素というのも必要かなと思う。

 それこそなんでもありになってはしまうけれど。これは仕方ない気がする。


 こっちもついでに設定してみよう。

 たとえば『かっぱの彼方さん』ならコレだよね、と言いたくなるアイテム。


【トピック:酒、晩酌】


 こういっちゃなんだけど、『かっぱの彼方さん』というのは、カッパと人間が四畳半で飲んだくれている小説なんである。

 友情、晩酌。なんともほっこり感が漂っている気がするけど気のせいかな気のせいだろうな。



 テーマの煮え切らなさは捨て置いて。

 次は分かりやすいやつをいこう。

 小説の人称とか視点とかだ。いわゆる、一人称小説とか三人称小説とかの、あれ。


 分かりやすいやつなんて言ったのだが、実はこの人称とか視点とかいうやつが、たかぱしはニガテだったりする。

 三人称ナントカ視点とか言われても、正直よく分からない。

 内心では、どうせ全部作者の視点やろが!と思っている。え、思わない?


 とはいえ、人称や視点は小説の構成や文章にも大きく関わる部分。情報として押さえておきたいところだ。


 問題は、一作品、あるいは一場面のなかで人称や視点が切り替わるような小説をどうやって表記するのか、だ。

(この辺りは賛否両論というか、場合によっては切り替えをタブーとする人もいる。

 が、ここでは賛否はさておき、そういう小説が実際にあるんだから、ありなのだ!というスタンスでいかせていただく。

 タブー派の皆さんもここはひとつ目をつぶっておいてください)


 ふむ。

 切り替えのある小説は「一人称場面ごと視点」とか書くんだろうか……?

 一人称で視点人物が変わる場合でも、物語の流れに沿って変わっていく小説と、同じ場面を別人物の視点から見せ直す小説とがあったりするが、あれは区別したほうがいいのか?

 一人称、二人称、三人称が切り替わる場合は「多人称」とか言っとけばいいのか?

 あとどうでもいいけど、あの浅田次郎がよく使う、作中人物が聞き手(作中人物と読者の一体になったやつ)に語るというあれは、何人称??

 いやほんと、三人称ナントカ視点のナントカが分からないんだけど……いくつあるの?

 っていうか、視点てなんだ。作者か。読者か。作中人物か。地の文か。どこの話だ。


 急募:小説の人称と視点に一家言あるひと


 細かいことは誰かに教えてもらってから考えることとして。

 いま実験台として使っている『かっぱ』は一人称小説で語り部(視点)はばっちり固定だ。なので、とりあえずはこんな形でも分かるんではないだろうか。


【人称視点:一人称固定視点】


 OK?



 もう、今日はボディーブローを食らい続けている心持ちなのだが、ならば毒を食らわば皿までも。

 ついでに、避けて通りたいけど避けられない【結末】もいってみよう。

 もちろん、これから読む小説の事前情報として、【結末】は知りたいときと知りなくないときがある。

 というか、知りたいような知りなくないような、そんな情報が結末だ。

 知っておきたいか知りたくないかは人によっても違うだろうし、そのときの状況でも違う。

 絶対ハッピーエンドが好きだ、というのも個人の自由だし。結末が分かったらつまらない、というのも個人の自由。


 だから、結末は情報として必ずしも開示しなければならないわけではないし、開示したほうがいいというわけでもない。


 でも、ババア・プロジェクトの小説データベースには、やっぱり結末の情報は欠かせない、と思う。

 それを未来の読者に教えるか教えないかは別として、誰かに小説をお勧めするときにその結末は把握しておきたいものだろう。

 あるいは、ハッピーエンド好きのリクエストに応えるために。その逆もしかり。

 やはり一目で分かる結末情報は、あったら便利だと思う。


 さて、問題は。そう。結末の幸不幸って、主観な部分がありますよねぇ。

 その辺りをどう誤魔化すか。


 たとえば、ざっくりと分けてみる。

1,ハッピーエンド

2,バッドエンド

3,メリーバッドエンド

4,あやふや


1,ハッピーエンドとは、ともかく大団円。問題はすべて解決し、主人公は(少なくともこの瞬間は)幸せ一杯で、悪者は罰せられ、空は晴れてて月は丸くてポストは赤い。そういう結末である。


2,バッドエンドとは、とにかくハッピーエンドの真逆、なにひとつ解決せず、救われず、悪は栄え、主人公はどん底で、読者はリセットボタンを探す。そういう結末である。


3,メリーバッドエンドとは、問題は解決するが不幸になる、あるいは幸せになるが問題が発生する、誰かは救われるが誰かは犠牲になる、ポストはあったが挿入口が狭くて投函できない。そういう結末である。


4,あやふやとは、結末が明示されず、ぼかされた状態で、むしろ終わったのかこれは?と聞きたくなったり、だから犯人は誰だったんだよと言いたくなったり、この後!この後どうなったかがしりたいんだって!と叫んだり、もはや打ち切りかよと絶望したくなる、ある意味メリバ以上に幸不幸の分からない、そういう結末である。たぶん。


 こう四種に分けてみると……ハッピーエンドとバッドエンドが突き抜けている感がある。

 まあでも、下手に小分けにするより、このぐらいで試してみて、それから調整するのがいい。


 というわけで、どうだろう。この4種の結末でなんとなく分けられそうだろうか? 足りる?


 さっそく『かっぱ』の結末もつけてみよう。

 ……………………えっと(汗)

 ハッピーエンドでもバッドエンドでもないから……。え、バッドエンドではないよね?

 一応、地球は救われた……ような。救われてない可能性も、ややあったけど。うーん。そもそもカッパも人間もどうなったか、分からないしなー。

 ということは。


【結末:あやふや】


 ……結末を書かずにぼかしてあやふやにするのは、悪い癖だと認識してます。



 さて。なんともぐだぐだに繰り広げてきたタグ付け。

 残るは、【雰囲気】【要素】【レーティング】なんて辺りでしょうか。


 なんとか形になってくれることを祈るばかり。

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