第3話 とぼけてますか?鈍感ですか?

ミッチの『おはよう』は、とても自然で普通だったかもしれない

でも、恋に落とされた女にとってはどうでしょうか?

あの声が、あの笑顔で、あの瞳を向けての『おはよう』ですよ?

アテクシなら2晩寝られやしませんわ、なんていう男なの?


「キラちゃんの一生の一度と思うほどの笑顔の『おはよう』も

今さっき私達と交わした挨拶が霞む差を感じますね…

でも確か私達はそれでも可愛いパワーに当てられて

一瞬でホワホワしたのに、………あの笑顔ったら!」


美玲さん、でもこれはどういう事ですかね

ミッチはよく見ていたら誰にでもアレですよ?

キラちゃんのが切なくなってしまうほどの普通な感じ

キラちゃんの長いまつ毛の下の熱い眼差しをミッチはスルーです

これをクールと呼びたいところですが、単に気づかないだけ?

そのまま立ち止まりもせずにとっとと自分の席にゴールしましたね!

朝なのでまだ寝ぼけているのでしょうか?


「いえ、奈帆さん………

これは微妙なノリの悪さを感じますね!

キラちゃんのうるうるしているあの瞳を一瞬でもみてしまったら

若い男子が朝立ちもしないでスルーなんて不自然でしょう?」


おっと!

ここでようやく出ましたよ、美玲さん得意の下ネタのスタートですか?

アテクシは今回身内のごたつきもあるし

彼の無神経に未だ止まらない怒りで気が散ってて調子悪くてすみません

ここでこうしていても、実は彼の笑顔が浮かんでしまって、


「お?怒りと言いながら、それはお熱いことではありませんか?」


いや、違うのです!

言い方が悪かったけど、彼が笑顔でこう言ったのです

『俺はババアでも好きなんだ』と


「キャーーー!!素敵じゃないですか!」


美玲さん、美玲さん!アホなの?

まずババアを否定する一言があるべきでしょ!

笑顔と言いましたが、半笑いの嫌な顔なんですよ、


「でも、告白してきた子にわざわざ言ったのでしょう、素敵」


その後よ、半笑いのまま、こんな言い訳したの

『普段からババアみたいに下ネタばっかしていても好きだと言いたかったから』

…ね?好きと言えばいいと思って、それを隠れ蓑にして悪口言ってる!


「う〜ん、それは、どうなんでしょう?え?ギャラリーから

奈帆さんの彼氏召喚の声がいくつか上がりましたよ!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る