第6章 織部レン・織田との戦い
第30話 祖母の入院
しばらくして、祖母が隣町の病院に入院した。
私は、高山さん、細川さん、芝山先輩と一緒にお見舞いに行った。
祖母:「よく来たね。」
祖母の声は、既に出にくくなっていたようで、非常に聞き取りにくかった。
私:「おばあちゃん、声が、声が・・・。」
高山:「おばあさん、無理して声を出さないでください。とても悲しくなります。」
祖母は頷き、それ以降、私たちの話にニコニコ笑顔を返すだけになった。
病院の帰り道、夕日が映える中、私は悲しい顔をしていた。
細川:「利子さん、女性はね、泣きたいときには泣いても良いものなのよ。」
芝山:「僕たちは、これで失礼するね。高山さん、後はお願いするよ。」
高山:「はい、先輩。細川さんも今日はありがとう。」
細川:「ええ、それじゃあね。」
私と高山さんは公園のベンチに座り、祖母の話題となった。
私:「私、小学生になる前、おばあちゃんの家によく預けられていたの。両親が共働きだったせいもあるけど、利休の話をしているおばあちゃんを見るのが好きだったの。とってもキラキラして素敵だった。もう二度とその顔を見ることができない。高山さん、私、どうしらた良いの?」
高山:「利子さんの悲しい顔を見ると、私も悲しい気持ちになる。おばあさんも一緒だと思うわ。だから病院でその顔は見せない方が良いと思うの。」
私:「うん。」
高山:「でも病院以外なら、いくらでもその顔をして良いと思うわ。私だって悲しいのだから、利子さんが悲しくないわけないもの。私は利子さんを親友だと思っている。だから、悲しくなったら一緒に悲しもう。泣きたくなったら一緒に泣こう。そして、一緒に笑顔で、おばあさんに会いに行こう。」
警備員が陰から見守る中、私達は公園のベンチで暗くなるまで一緒に泣いた。
翌日、元気に登校する私を見て、高山さんが笑顔で話しかけてきた。
高山:「利子さん、今度は、いつ病院へお見舞いに行くの?」
私:「次の土曜日、お昼に行こうと思っているけど、高山さんは行けそう?」
高山:「行くわ!一緒に行きましょう。」
細川さんと芝山先輩、それに蒲生さんが少し遠くから見ていた。
蒲生:「恋ね。利子ちゃんと高山さんから、恋の匂いがするわ。」
細川:「やっぱり。私もあの二人は怪しいと思っていたのよ。」
芝山:「そうなんだ。全然、気が付かなかった。」
蒲生さん達の会話が漏れ聞こえた私と高山さんは、なんとなく恥ずかしくなりながらも、その日は、手を繋いで登校した。
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