第4章 街の管理者・織部レンの明智
第18話 利休の失敗談
私は、とある中華料理店の奥の部屋に案内された。
そこに座っていたのは、覆面をした女性だった。
覆面女性:「ようこそ利子さん、私は織部レンの明智。この街を管轄しているものよ。」
私:「私を拉致して、どうするの?」
覆面女性:「警告よ。利休派から手を引きなさい。あなたとお友達は、いつでも手の届くところにいるわ。お友達に何かあっても困るでしょ?」
私:「友達に手出しはさせないし、利休派もやめない。私は利休の逸話が好きなんだもの。」
覆面女性:「頑固ね。では利休の逸話をしましょう。ある時、利休は大金をはたいて、『
私:「なんで褒めてもらえなかったの?」
覆面女性:「偽物だったからよ。利休はその場で、掛軸を焼き捨ててしまったそうよ。おもてなしの心なんて、ないと思わない。」
私:「そんなはずない。たまたまそういう失敗があっただけだもん。」
覆面女性:「では、『森口の茶人』の逸話をしましょう。利休は、普段から釜に火を掛け、侘びた生活をしていると噂される、森口の茶人を訪ねることにしました。ところが、誰かから聞いて準備周到に用意された嘘だったとわかると、利休はそのまま帰り、二度と森口の茶人に会いに行くことはなかったそうです。なぜだかわかる?」
私:「嘘のおもてなしだったから。」
覆面女性:「その通り、おもてなしの心が感じられなかった。それだけで、利休は人を避けたの。小心者だと思わない。」
私:「そんなの、相手におもてなしの心がないだけだもん。利休は悪くないもん。」
覆面女性:「じゃあ、これならどう!『一両の茶巾』という話よ。ある田舎の茶人が、利休になんでも良いから自分に合う侘びた茶道具を買ってくれと言って一両という大金を送ったの。利休は、全額、茶巾という白い布にして送り返したのよ。侘びというのは、茶巾さえ常に綺麗なら良いと言ってね。ひどいと思わない。」
私:「なんでも良いなんて言う、田舎の茶人が悪いんだもん。ちゃんとほしいものを言わないから、利休が迷ったんだもん。」
謎の男:「明智様、この娘、手ごわいですね。」
覆面女性:「いいわ、今日のところは許してあげる。家までは送らないけど、帰れるわね。」
私:「大丈夫です。さようなら。」
私は家まで走って帰った。
家に着いた私は、すぐ布団に入り、震え出した。
私:「蒲生さん、高山さん、私、怖いよ~。」
◆◆◆
現在の利子の特殊能力
・逸話の伝道師・初級(☆LVUP↑)
『丿貫の落とし穴』『三献茶』『落ち葉の風情』
『密庵咸傑墨蹟』『森口の茶人』『一両の茶巾』
・茶道は不得手
・みんなのリーダー・初級
・利休派への勧誘力・初級
・駆け足・得意(☆LVUP↑)
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