第16話 古田母VS高山さん

高山さんは古田母の言葉から、矛盾点を見つけた。


そして、古田母の方を向いて語りだした。


高山:「まず、お金が大切だと言いながら、利益の出ない織部ズムの仕事をしている。」


古田姉:「お母さん、そうなの?」


古田母は下を向いたまま、だまっていた。


高山:「次に、織部ズムの大幹部になれば、裕福になれると思って、娘を大幹部にしようとしている。」


古田姉は、古田母の顔を覗き込んだ。


高山:「そして、物欲を満たせば幸せになれると言いながら、無限に物欲が続くと言っている。お母さまは、織部ズムの欠陥に気づいているのではないですか?」


私:「欠陥があるの。」


古田母:「頭の切れる子がいたようね。そう、織部ズムはマルチ商法よ。」


私:「マルチ商法?」


高山:「組織の下の人が稼いだお金を、上の人から順に分配していく仕組みよ。」


古田母:「組織の下にいる限り、お金は稼げない。だから娘を大幹部にしたいの。」


古田姉:「じゃあ、誰かを幸せにするために頑張っているわけじゃないの?」


古田母:「私たちが幸せになるのが先でしょ?」


古田姉:「そんな・・・」


高山:「利子さん、今よ。『三献茶』の話をしてあげて。」


私:「では、『三献茶』の話をします。利休があるお寺で・・・。」


古田母:「おもてなしの心なんて認めない、認めないわ。」


私:「では、『落ち葉の風情』の話をします。利休の先生が、庭で・・・。」


古田母:「自然の美しさを顧みるゆとりを持つ。私は、お金のために、娘を大幹部にしようとしていた。そうね。心にゆとりが無かったのかもしれないわね。」


古田姉:「お母さん、それじゃ。」


古田母:「利子さんと言ったかしら。ありがとう、おもてなしの心、十分に届いたわ。でも、これからどうしたら良いのかしら。」


高山:「利休派の長官の事務所は知っていますか?」


古田母:「そういえば、FAXで流れてきていたわね。確か、危険地帯につき、進入禁止だったかしら。」


私:「危険地帯!すごいFAXだ。」


高山:「長官なら、必ず力になってくれます。私達と一緒に行きませんか?」


古田姉:「行こう、お母さん。」


古田母:「そうね。一緒に行ってもらえるかしら。」


私:「はい。よろこんで。」


蒲生:「私、何も言ってないけど良かったのかな?」


私:「蒲生さんは、いるだけで周りを明るくしてくれたんだよ。」


蒲生:「そうだったんだ!私、役に立っていたんだね。」


そして、私、蒲生さん、高山さん、古田母、古田姉の5人が、長官に会うため事務所へ向かった。

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