第78話 目指せ!! 新たに出現したダンジョン

「それでこれからどうするの?」

「とりあえずは颯斗の作ったダンジョンを探す。天使たちの手掛かりがあるはずだからな。そして、もしガブリエルや彩に会うことがあったら助け出す」


 アリサの質問に答える。


「私は賛成よ。だけど、こちらの言うことを聞いてくれない場合はどうする。彩達は天使といるんでしょ。それに琢磨の姿は変わってるし、出合がしらに襲ってくるんじゃ――――」

「その時は叩きのめせばいい」


 アリサの疑問に対しシエラの容赦ない答え。


「そうだな。その時のことはその時考えればいい。ティードリッド、颯斗のダンジョンの在処、知ってるか?」

「すいません、詳しい場所は・・・・・・ただ、このエルフの森を抜けた先に最近ダンジョンが出現したとの報告がありました。とりあえず調べてみた方がいいでしょう」


 琢磨はティードリッドの話でシエラが封印されてたダンジョン【血涙けつるいの館】のことを思いだした。


「そういえばシエラが封印されてたダンジョンも新しく出現した未知のダンジョンだった。もしかしたら最近出現したダンジョンを探せば颯斗のダンジョンにたどり着くかもしれない」

「そうと決まれば装備を整えた方がいいでしょう。この里には多くの商人が在住しています。きっと役に立つアイテムもあることでしょう」


 ティードリッドの提案を聞いた琢磨は、


「みんなそれぞれ必要なものを手に入れたら一時間後に里の入り口に集合だ」


 琢磨の言葉を皮切りにそれぞれ必要なものを探しに露店の中に消えていった。




 そして一時間後。


 各々準備を整え里の入り口に集合していた。


「皆さん、気をつけてください。私はしばらく天使の動向を探っています。何かあったらご連絡するので――おっと、忘れるところでした。これがないと連絡しようにもできませんね」


 そう言ってティードリッドは懐から何かを取り出すと琢磨に手渡した。


「これは?」


 琢磨が手にしたのは、小型の電話のような形をしているが、材質が金属などではなく見たことない物質で出来てるようだ。おまけに重さを全く感じない。うっかりすると持ってることすら忘れそうだ。


「見た目はまるで携帯電話ね」


 手元を除いたアリサが言う。


「・・・・・・ケイタイデンワ・・・・・・?」


 シエラが何それ? って顔をしている。


「私たちの世界にある機械でね、簡単に言うとこれを持ってる相手と話せるのよ」


 アリサが説明する。


「颯斗も同じことを言ってました。でも、これはたまたま颯斗が行った先のダンジョンで見つけてきた物です。色々調べてみましたが、分かったのはこれが相手と話すことができるだけのアイテムだということです。そして、如何なる魔法もこのアイテムには一切効きません。そのため、話の内容を傍受されないことから天使たちに聞かれる心配はありません」


 ティードリッドの話が切れたところで電話型のアイテムが輝きだして琢磨の指に座れるように消えていった。そして、右手の中指を見ると先ほどまでなかった指輪がはまっている。


「それはオフモードです。使うときは通話する相手を思い浮かべるか、相手からかかってくる場合は自動で元に戻ります。しかも指輪になってるときは睡魔や呪いの類の呪文にかかってもたちまちキャンセルできます。でも絶対ではないので過信しないでください」

「ああ、分かった」

「それじゃぁ行くとするか」

「ええ」

「んっ」


 琢磨たちは里の外に歩き出した。


「ティードリッド様、では行ってまいります」

「ええ、気を付けて行ってきなさいシルフィー。自信を持ちなさい。あなたはできます。何といっても私が直々に手ほどきしたんですからね。存分に暴れて皆さんの度肝を抜いて見せなさい」

「分かりました。私の力を存分に見せます」


 シエラはティードリッドはじめ、里のみんなに手を振ると琢磨たちのもとに駆けて行った。


(自身の待ちなさい。あなたの潜在能力を自由に扱えるようになれば天界で成り代わっている悪魔にも遅れは取りません。そこは保証します。天使であるラファエルの名にかけて)


 ティードリッドはシルフィーの背中を見ながら心の中でエールを送った。


 こうして、琢磨たちはエルフの里を後にしたのだった。

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