ドジな天使のせいで異世界転生したのでこの天使に仕返ししようとしたら幼馴染まで追いかけてきてこの世界で生き抜こうと思った件について~まったりとしたスローライフだと思ってたら激しいファンタジー世界だった

tai-bo

第1話 第二の人生は憧れたファンタジー世界だった

「あなたが鈴木琢磨さんですね。ここは天界です。あなたは不運にも死んでしまいました」


 突然わけのわからないことを言われた。

 周りを見渡すと白い部屋に明らかにテレビらしきものとゲームらしきものが散乱して奥には扉しかなかった。

 声をかけてきてるやつの姿が見えないと思ったらゲームソフトの山が動いて中から絶世の美女が飛び出してきた。


(完全に生き埋めじゃないか)


 俺の前に金髪の長い髪に出るところはでて背中には白くて光が当たるとキラキラ輝いて、まさしく天使の羽と表現すればいいだろう、的なものが見える。まさしく見た目は俺好みの美少女だった。

 その美少女は、金色の目で俺と目が合うとどこか気まずそうに眼をそらした。

 ここがどこか分からないが・・・・・・俺は、先ほどの記憶を思い出す。



 その日は晴天で絶好のお出かけびよりだった。


 俺は身支度を整えると、待ちに待ったゲームを買うため店に開店前に行って列に並んだ。

 無事に手に入ったゲームを楽しみにしながら急いで帰ると、信号機に捕まった。ちなみに赤信号に引っかかったのは五回目だ。不思議なもんだ。普段は気にならないのに急いでるときに限って赤信号に引っかかるし時間も長く感じる。

 だが、今思えば俺が死ぬタイミングまでの時間調整を赤信号がしてたのだろう。


 その時だった。


 今か今かと青信号になるのを待ってた俺の頭にすごく硬いものが直撃した。その勢いで頭をコンクリートで固めた地面に叩きつけ意識が薄れていく中なんか見覚えがある某ゲーム機みたいに見えたが、直前までゲームのことしか考えてなかった俺の脳内が見せた幻だろう。きっと、ものすごい確率で隕石でも直撃したに違いない。

 俺の記憶はそこで途切れた。


 そして、今に戻る。


 俺はおそらく死んだのだろう。・・・・・・自分でも不思議なぐらい動揺はない。一応確認のために目の前の美少女に聞いた。


「・・・・・・質問してもいいですか?」


 俺の質問に美少女が目線を向けたかと思うと直ぐにそらして、


「ど、どうぞ?」


 何で目線を合わせないんだろう。・・・・・・人見知りかな。まあ、いいけど。


「・・・・・・俺は、死んだのでしょうか?」


 この質問は俺にとっては大切なことだった。ことによっては、マンガやゲームでよく見る異世界転生的な状況によく似ているのだ。美少女よ。応えはいかに・・・・・・?


「はい、死んでますね」


 やはりそうか。やっぱそれほどショックではないな。それはそうと死因ぐらいは聞いておくか。何が原因で死んだかぐらいは知っておきたいもんな。美少女は怯えたようにビクビクして俺の方をチラチラ見てる気がするが、俺は気になってることを聞いた。


「一応聞いておきたいんですが、俺の死因って何なんですか? 隕石でも直撃しましたか?」

「・・・・・・」


 美少女はビクビクと反応しただけで答えない。


「・・・・・・あの、聞いて」

「ご、ごめんなさい!!!」


 いきなり美少女が土下座して謝ってきた。


「あの、なんで謝るんですか? 顔を上げてください」

「だって、私のせいなんです。あなたが死んだのは」

「・・・・・・は?」


 この子なんて言った。俺が死んだのはこの目の前にいる美少女のせい!?


「まずはこれを見てください」


 美少女は土下座したまま、手に持ってるものを差し出してきた。俺は手に取るとそれは、俺が朝買いに行ったゲームソフトと同じものだった。


「何でこれがここに」

「・・・・・・実は私の下界に降りて買ってきたのです」


 は、天使が!? 天界でもゲームできるの?


 俺の脳内でいろんな疑問が駆け巡ったが、それが俺の死因と何の関係が・・・・・・

 だが、決定的なことをこの後美少女が口にした。


「私は早速買ってきたゲームをやろうとゲーム機に接続しようとしました。その時です。私は足下に転がってた下界につながるゲートのボタンを踏んでしまったのです。アッと思った時はゲームの本体がゲートから落下し、ちょうど真下にいるあなたに直撃しました。それで死んでしまわれたのです」


 ということは俺が最後に見たゲーム機は見間違いじゃなかったのか。なんてこった。災害や事故ならまだよかった。なのに死因がゲーム機直撃って、見る人が見たら間抜けな死に方じゃないか。


 どうしよう。こいつを今すぐにどうにかしたい。天界で殺すのは犯罪だろうか。

・・・・・・いや、まずは状況判断か。今、問題を起こすのは得策ではないな。


「まあ、起こってしまったのはしょうがない。そう落ち込まないでください」

「こんな私を許してくれるの」


 美少女がこちらを涙目で見てくる。なんか来るものがあるな。


「まあ、そっちの不手際みたいだし、てことは生き返れるのですか?」


 美少女が気まずそうにまた目をそらすと、


「・・・・・・ごめんなさい。それは無理です」

「・・・・・・何でですか?」

「いかなる理由があろうと生き返らすのはできないんです」


 俺は無言で握りこぶしを作った。


「ひぃっ! それで何をするつもりですか?」

「・・・・・・なに、あまりにも理不尽な気がするので一発殴ろうかと」


 美少女は後ずさり、


「ま、待ってください。生き返るのは無理ですが違う世界に転生するのは可能なので」

「・・・・・・本当ですね?」

「は、はい!」


 俺はひとまず矛を下ろして美少女の話を聞くことにした。

 それを見た美少女は胸を撫で下ろしていた。

 俺は、いまさらながらのことを聞いてなかった。


「あの、いまさらながらあなたの名前を聞いても?」

「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね」


 美少女は襟を正し背中の翼を広げ、コホンと咳ばらいをし、


「私は、天使の一人、ガブリエル。この天界に迷い込んだ哀れな死者を導くものです」

「・・・・・・哀れなって俺のことですかねえ!」


 俺の眼光でまた怯えたように縮こまった。

 この美少女もといガブリエルはきっとバカだ。俺は、温かい目で見守った。


「ひぃっ! ま、まだ何か?」


 どうして余計におびえるのだろう?


 とりあえず先を促した。


「では、コホン。異世界なんだけど、恋愛ものから魔法を使える冒険ものまであるけどご希望はありますか?」


 俺は、迷いもなく、


「冒険ものっていわゆるモンスターが出てくるやつか?」

「はい、その通りです。ですが、異世界とはいえ現実ですから死んだらそれまでです。それでもいいですか?」

「ああ、それで構わない」


 俺は内心楽しみにしている。今から異世界が待ち遠しいほどだ。


「では、そのように。それから直ぐにまた死にたくないでしょうから、何かチート能力を差し上げましょう。この中から選んでください」


 ガブリエルから渡された紙を一枚一枚確認する。


・・・・・・そこには、《聖剣エクスカリバー》 《魔力最大値Max》 《どんな魔法もはじき返す鎧》 《負った傷がすぐに回復する自動修復機能》 その他色んな物が記載されていた。なんか、通販のカタログみたいだった。


「そろそろ決まりましたか。次の死者の方が待ってるみたいなんで早くしてくれるとありがたいんですけど」


 て、いいながら、ガブリエルはテレビゲームの準備をして今からやるところだった。

 ・・・・・・こいつ、俺が何で死んだか忘れてるような態度をとりやがって。しかもやろうとしてるゲームはまさしく俺が死ぬ瞬間まで楽しみにしてたやつじゃないか。だんだん頭にきた。やっぱ殺そう。きっと天使じゃなくて堕天使だろう。

 横にある棚を見ると金属バットが置いてあった。きっとこれはこいつを殺して構わないという神からのお告げだろう。


 俺はそっとガブリエルに近づいた。

「決まりま・・・・・・あの、その手に持ってるものはいったい?」

「これか? これは、こうするためにあるんだよ。無残に死んだオタクの怒りをおもいしれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 バキィ!!


 ガブリエルには避けられたが、ゲーム機を破壊したようだ。


「ああ!! 楽しみにしてたゲームが、私が何をしたっていうんですか?」


 泣きながらしがみ付いてきたガブリエルを二度ビンタした。


「イタッ、イタッ・・・・・・二度もぶった・・・・・・オヤジにもぶたれたことないのに!」


 こいつ、どこかで聞いたセリフを吐きやがって・・・・・・

 俺は金属バットを構えると、ガブリエルが慌てて、


「や、やだなあ。冗談ですよ。早く手続きを済ませてしまいましょう」


 そんなに早く決めてほしいんなら決めてやる。


「俺が持っていくのは全部だ」

「・・・・・・は!? 全部ってこの紙に記載されてる?」


 俺が頷くと、


「イヤイヤ、普通は一つだけですよ」


「俺は、あんたのせいで死んだんだ。それに異世界でも死ぬかもしれない。これぐらい多めにみてくたっていいじゃないか」

「し、しかしですね・・・・・・」


『それぐらいはかまいませんよ』


 突然声が響いた。


「だ、誰だ!?」

「・・・・・・あなたはまさか?」


 何もないところから突然お淑やかそうなグラマな美女が現れた。


「ラファエル!? なんでここにいるの? あなたの担当は違うでしょ」

「ラファエル?」


 グラマな女性は俺のつぶやきが聞こえたのか、


「これは申し遅れました。私はガブリエルと同じ四大天使の一人で癒しをつかさどる天使です」


 確かにこのおっとりしてる感じなんか和むわ


「チェンジで」

「・・・・・・聞こえてるわよ」


 おっと、思ったことが口から出てしまったらしい。


「とりあえず全部持ってていいんだな?」

「はい、かまいません。それらは初心者がもってると強いですがある程度の場面では使い手もレベルがあがってないと役に立ちません」

「要するにこの武器でトロールあたりは一撃で倒せるが、ドラゴン相手には俺自身のレベルもちゃんと上げないと全く役に立たないってことだろ?」

「話が早くて助かります」


 これは本格的なロールプレイングができそうだな


「では、まいります。あと全部ってことだったのでガブリエルも差し上げます」

「・・・・・・えっ」


  俺とガブリエルの足下に魔法陣が現れた。


 本格的だな。これでついに異世界に進出だ。


「ちょ、え、ま、待って! 何で私までおかしいから! ね、ねえ聞いてるラファエル? 天使連れていく転生者って前代未聞よ。お、お願いだから聞いてください。ラファエル様~!」

 

涙目でさっきまで丁寧な言葉使いだったのに敬語ですらなくなってる。これが地だな。


「それはあなたの今までの素行の悪さですよ、ガブリエル。ろくに仕事をしないでゲームするか、寝るかしかしてないじゃないですか。その上、死者を導く天使が自分で死者を作るなんて少しは反省してあなたのせいで死んでしまった琢磨さんを誠心誠意助けることであなたの罰にすることが全会一致で可決しました。その働き次第では天界に戻れるかもしれません。が・ん・ば・って・くださいね、ガブリエル」


 俺は、ダメな天使も連れていくようだ。実は初めての異世界に一人で行くのは不安だったのだ。旅は道連れっていうしいないよりはましだろう。


「あきらめろ、ダメ天・・・・・・ガブリエル」

「あなた、今ダメ天使っていおうとしたでしょう」


 俺が金属バットをちらつかせるとごめんなさい。ごめんなさい。と謝ってきた。


「ねえ、ラファエル! 今の見たでしょ。私このままじゃ殺されると思うの! 心を入れ替えてまじめに働くから許して~」


 ガブリエルの声を無視するように、


「では、鈴木琢磨様。第二の人生ではあなたに祝福があらんことを! ・・・・・・ガブリエルのことどうにかよろしくお願いしますね」


 最後にラファエルの声を聞く中。


俺は、この状況をどうにかしようと何かを訴えてるガブリエルと共に魔法陣から溢れた光に包まれた・・・・・・!

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