ツウィートしただけなのに②




能天気に街を歩き、待ち合わせ場所へと着いた由佳はベンチに腰を下ろした。 セナの容姿は知らないが、まだ来ている様子はない。


―――セナってどういう子なんだろう?

―――声も可愛いし優しい子だし、きっと素敵な子なんだろうなぁ・・・。

―――って、慌てて出てきちゃったから待ち合わせの時間まで結構あるんだ。

―――暇だなぁ、どうしよう?

―――・・・あ、そうだ!

―――久しぶりにチャットでもしようかな。


2ショットのチャットへログインした。 部屋に入ろうとするとランダムに相手が選ばれ話すことができる。 マッチングまでの時間は早く時間を潰すのにもってこいだが、いい相手と当たることは少ない。 


『21で女』


表示された情報はそれだけで、拒否をすることもできない。 だが女性となれば由佳としては安心して話すことができる。


―――わぁ、女の人だ!

―――チャットは男の人が多いイメージだから、珍しいな。


『こんにちは! 私は中二の女子です!』

『――相手は退室しました――』


はずだったのだが、相手は一言も喋らずに通信が途切れてしまった。


―――うわぁ、切られた・・・。

―――この人は男性目当てだったのかなぁ?

―――それとも年齢が駄目だった?

―――女の人と当たるとすぐに切られることが多いんだよなぁ。


時間を潰すことは全くできず、セナとの待ち合わせまではまだかなりある。 気を取り直し、再度マッチングを試みた。


『中二の女子です!』

『中二の女子か、可愛いね。 僕は男で25歳』

『大人ですね!』

『君はどこ出身?』

『都内です!』

『なら僕と近いかも。 ねぇ、よかったら今から会って一緒に遊ばない?』


流石の由佳といっても、こんなに急な誘いに乗ることはない。 もちろん現在はセナと待ち合わせをしているが、していなくても無理なパターンだった。


―――はは・・・。

―――こういうチャットって、出会いを求める人しかいないんだよなぁ。

―――私は普通にお話をしたいだけなのに・・・。


やんわりと断ってチャットを終えた。 結局、時間は潰せていない。 だがもう一度マッチングする気にもなれなかった。


―――暇だなぁ。

―――・・・そうだ、久々に自撮りしてツウィッターに載せよう!


早速この場で自撮りをしてツウィッターに投稿した。 待ち合わせによく使われる場所であり、花をモチーフにした時計が綺麗で写真映えする。 ツウィ―トするとすぐに反応が返ってきた。


“可愛い! いつ見てもゆーかちゃんは可愛いね”

“そこどこだろう?”

“写真写りいいね”


嬉しく思いながら返信していると思い出す。


―――あ、そう言えば!

―――写りがいいと言えば、前に律奈と2ショットで撮った写メが上手く写れたんだ!

―――折角だしそれも載せよう。


早速フォルダーの中を探し写真を投稿した。 かなりキメ顔で盛れていてお気に入りの一枚だ。


“うわ! 天使が二人いる!!” “そんなことないですよー!(笑) でも嬉しいです!”

“めっちゃ可愛い!” “そう言ってもらえて凄く嬉しいです♪”

“どこで撮ったの?” “携帯は禁止なんですけど、こっそり学校で撮りました(笑)”


“友達の顔を出しちゃって大丈夫?”


そんな中、やはり一人だけ心配するようなメッセージが届いていた。


―――あ、また冬真さんだ・・・。

―――どれだけ心配してくれるんだろう?

―――というより、友達を載せて何がいけないのかな。

―――・・・あ、自慢になるから?

―――友達がいない人が見たら確かに嫌な気分に・・・。

―――あれ、でも冬真さんはいつもたくさんの友達に囲まれるような人だよね?

―――なら嫌な気分にはならないはずだけど、よく分かんないや・・・。


“大丈夫ですよ! 特に問題はありません!” “そう? 気を付けてね。 二人共可愛いね” “ありがとうございます!”


返信していると後ろから声がかかった。 セナだと思い笑顔で振り返る。


「ゆーかちゃん?」

「セナ! ・・・え?」


だがそこにいたのは見知らぬ大人の男性だった。



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