Chinese Puzzle
床町宇梨穂
Chinese Puzzle
雨が降っていた。
春雨って言うのだろう。
僕は待ち合わせの時間より15分前にそこへ着いた。
いい女は必ず遅れてくると言う固定観念を持っている僕だけれど、いい女を待たせてはいけないと言う個人的哲学を優先させた。
たくさんの人々が小さな筒から吐き出されてくる。
僕は背が高くて派手な顔をしている女の子を探した。
背が高い女の子はたくさんいる。
派手な顔をした女の子もたくさんいる。
でも両方の条件をそろえた女の子はなかなかいない。
3本目の煙草を吸い終わる頃、背が高くて派手な顔をしている女の子は現れた。
辺りを見まわしながら携帯電話を取り出した。
もちろん僕に電話しているのだろう。
電話が鳴るのを待とうかと思ったけれど、面白いジョークも言えそうになかったので彼女に声をかけた。
「今電話しようと思ったのに・・・。」
遅れた事はもちろん謝らないし、いいわけも言わない。
僕の固定観念は益々、自信を持つようになる。
「元気?」
もうちょっと気の利いた台詞が言えないものかと自分を呪う。
「うん・・・。」
僕が少し目線を上に上げて会話をしなければならないのは気に食わないが、本当に素敵な女の子だ。
背が高くて派手な顔をしている。
ファッションももちろん完璧。
そこら辺のモデルなんて霞んでしまう。
その夜、僕はずっと彼女の欠点を探していた。
でも1つも見つからない。
話題は豊富だし、僕に気を使うのも忘れない。
僕は彼女の外見以上に彼女自身の性格に興味を持った。
外見も中身も完璧。
でも全てがパーフェクトなんて言う人間がいるわけがない。
いったい彼女はどんな欠点を持っているのだろう・・・。
Chinese Puzzle 床町宇梨穂 @tokomachiuriho
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