第25話:仲間達の本音と泉堂さんの人生
「銀行だからつぶれるという危険も少ない」
「冬の間だけ、じっと、こたつに入り耐え、やがて遅い春が巡ってきて、桜が咲くと一斉に多くの花が咲き誇る素晴らしい自然の季節を迎える」
「チューリップ、バラの季節を過ぎると、辰野のホタル祭りとなり、夏祭りが始まり信州で一番良い季節が訪れる」
「諏訪湖の花火、松本ボンボン、長野のびんずる、夏祭りが終わると稲刈り」
「次に、そばの取り入れという実りの秋が訪れる」
「それが終わると、冬支度を初めて、車のタイヤを昔はスパイクタイヤに、最近は、スタッドレスタイヤに履き替える」
「厳しい冬は、諏訪湖周辺では、寒天を干す光景が見られ諏訪湖が氷がはり凍結」「山々は、雪に閉ざされ、人々も部屋を暖かくして、こたつに入り春を待つ」
「信州の素晴らしい四季だ」
「若い頃は、これで、良かったが、年を取ると冬の寒さが厳しく体にこたえる」
「また昔から同じ仲間と過ごしていると人情が時として重荷になり,それが、やがてしがらみとなって心の重みになってくる」
「特に、俺みたいに地元の大銀行の支店長となると冠婚葬祭を始め多くのしがらみにがんじがらめにされて自由がなくなる」
「それが、嫌になり飛び出したくなったと言った」
「女房の突然の交通事故死もあって、もう故郷の未練がないと言い切った」
「それを聞いて下村が気持ちはわかるが順風満帆の人生じゃないかと言った」
「都会では競争が激しく勝利者が。総取りとなり、敗者は、お払い箱、競争に勝つ人だけが、より良い人生を送れるという超競争社会」
「そんな中で、心を許せる友人なんて、できない実力と策略と言う非情な人生だ」
「また、階層が決まって、良い大学を出て出世したり、人間も生まれの良い一部の人達だけのエリアに住む事になる」
「成功したとしても、成り上がり者は、豪華なタワーマンションに、億を超える金を払って住むことになる」
「普通程度の連中は、一生、賃貸マンションに住み、年金が少なくなれば、東京からはじき出され、千葉、埼玉なら、まだましだが、茨城、山梨、栃木、群馬、福島に追いやられる」
「これを聞いて、泉堂が、じっと2人の話に耳を傾けていた」
「そして、なるほどねと言った」
「泉堂が、信州で育った時は,山がきれいでホタルが飛び交ってるのは、当たり前の光景だった」
「しかし、引っ越してみると、それがない」
「また、私が流れ着いた札幌は、大都会で、競争社会」
「水商売は、競争が激しく、お客さんの取り合いばかり汚い手を何回も使ったわ」
「気を引くためなら何でもしたのよ、でもね、そんな事、まともな神経では,できなくて、酒におぼれて、危うくアルコール依存症と糖尿病で体を壊しそうになった」
「そんな時、優しくしてくれ、病気を直してくれた札幌の大病院の若手のお医者さんと過ごして数年間は、人生最高の時だったわ
「でも、人生、良い時って、本当に短いのね」
「その人は、5年後、肝炎を患い闘病生活を余儀なくされ、やがて11月に入院」
「お見舞いに行った時、僕の人生は、もう、あまり長くないと思うと言った」
「これを聞いたときは、悲しくて、一晩中、泣きあかしたわ」
「彼は、東京の名門高校を出て実父ともめた」
「そして実父から今後一切援助しないという条件で1千万円をもらい家出し北海道大学医学部に入ったと話した」
「しかし入院して、その年を越す事ができず亡くなった」
「彼の病室の引き出しに遺書と預金通帳が入っていた」
「それも見ると資産を泉堂峰子に託すと署名捺印が押してあった」
「その通帳の残金合計が1800万だった」
「その後、内縁の妻として彼の葬儀をして北大病院近くの埋葬した」
「それ以降、私の人生が一気に下り坂になり世の中、バブル崩壊、不景気の冷たい風邪が吹き荒れ、すすき野でも飲み屋が、つぶれていった」。
「その頃、知り合ったバーのマスターと同棲し暮らたが店を守ろうと頑張っていたマスターが借金を増やす結果となった」
「最終的には、マスター自殺してしまい、その前に解雇され悪影響が及ぶことはなかったが、葬式も、あげてやることができなかったと言い悔やんだ」
「その当時を思い出して、泉堂さんが。涙を流した」
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