第23話:下村が信州を出て東京へ行きたい
「過去の自分を振りかえりたくない」
「よその暖かい土地で羽目を外して思いっきり人生を楽しみたいと言うと、佐島さんが、心にもないことを言うもんじゃありませんと、いさめた」
「しかし、お前に俺の本性がわかってたまるかと大声を上げた」
「宮入が、わかるよ、その気持ちと言うと、お前に、田舎のしがらみと、厳しい寒さが、わかるはずないと、どなった」
「その後、家に戻り、お茶を沸かし、飲めよと言うと、下村が、こんな事までさせて、悪いなと告げた」
「本当の事を言って、お前が、お父さんの転勤で辰野を出て東京へ行った時、うらやましく思った」
「自由気ままに生きていけるのを、どんなに羨ましいと思ったかと打ち明けた」
「これから、俺は,東京へ行き残りの人生を好き勝手に生きてやると息巻いた」
「これに対し、宮入が、東京は、そんな理想郷ではなく競争ばかりの砂漠のような所で、人情のかけらもない連中が闊歩していると話した」
「でも、しがらみに、縛り付けられている故郷よりも,よっぽど住みやすいと思うと力説したが、下村は、本当の競争の厳しさを知らないからだと宮入が反論した」
「お前が、何と言おうと、俺は,東京で好き勝手に生きる権利を得たと語った」
「泉堂さんも待ってると言ったから、彼女と新しい人生をやり直すと打ち明けた」「もう連絡したのかと聞くと、そんな訳ないだろ、誰も女房が、死ぬなんて、思っていなかったものと言った」
「彼女が一人で住んでるから、いつでも待ってると言った言葉を信じると話した」
「遅くなるからと言って床に入ると疲れのせいかすぐに眠ってしまった」
「翌朝、下村は、まだ寝ていたので起こすのも悪いと思い、ゆっくり考えて行動しろよと。置き手紙を残して下村の家を後にした」
昼過ぎ、八王子に到着し、ゆっくりした。そして図書館で借りた読みかけの小説を読み始めると、あっという間に夜。
「春の気配がしてきた2015年3月中旬、下村から橋本駅から徒歩3分の2LDKのマンションに住む事にすると連絡が入った」
正式契約するので良かったら見に来ないかと言われ行くことにした。12時過ぎ、八王子から12分で橋本駅へ橋本駅北口の改札出口を出ると下村が、待っていた。こっちは、土地勘が、ないから宮入が頼りだよと肩をたたいた。まず,昼食をとろうと近くの喫茶店に入りランチを食べた。
下村が不動産屋に電話をかけ、徒歩5分で不動産屋に到着。下村が、不動産屋の担当者に、再度、確認したいのでマンションを見せてと言うと、それではご案内しますと言い、店を出て、数分の所に、そのマンションがあった高層マンションで3DLK中心の家族向け高層豪華マンション。
その中の3階にある2LDK59平米の洋室5.5帖、6.5帖、リビングダイニング14帖で,おしゃれな感じ。それでも築15年経っていると担当者が説明した。できた当初は、最先端の設備をそろえていたので人気が高く分譲中心で賃貸はなかったが、高齢化で賃貸に回すオーナーが出たと説明した。
でも、しっかりした良い物件で駅から5分足らずは、理想的と担当者が語った。どうだ驚いたろうと宮入が言うと確かに賃貸という感じはしないと下村が、感想を述べた。俺のマンションよりも素晴らしいかもよと笑いながら言った。そして最終確認ができたから契約すると言った。
不動産屋が、店に戻り契約書にハンコを押して賃貸契約が完了。鍵をもらい近くの大型スーパーに入り合い鍵を作った。
「その後、喫茶店で、下村が、実は、泉堂峰子の住んでいる多摩ニュータウンのマンションの近くで3人で会おうというのだ」
「この話を聞いた宮入は、聞いてないよと言い、驚いた」
「是非、会おうよと下村が言うので、わかったよと答えた」
「喫茶店を出て人気の少ない公園へ行き下村が電話し話していると今日は珍しい人が来てると言い、宮入に変わると宮入は緊張し、お久しぶりですと挨拶した」
「すると、泉堂が何十年ぶりかしら懐かしいわと言い,是非、お会いしたいわと言ってくれた」
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