●婚約破棄された悪役令嬢、使い魔を召喚したら魔王様でした
Crosis@デレバレ三巻発売中
第1話プロローグ──婚約破棄
「い、今何とおっしゃいましたの?」
今わたくしは王国立魔術学園高等部の一年を締めくくるパーティ会場にいた。
わたくしの周りには学生たちで人垣ができ、まるで見世物であるかの如くやじ馬が増えていく。
「聞こえなかったのならばもう一度言ってやろうではないか、シャルロット・ヨハンナ・ランゲージ。貴様の悪行の数々は既に上がっている。このような悪行を行う令嬢などこの俺の婚約者にはふさわしくないと判断した。故に本日をもって婚約を解消すると言っておるのだ」
一体、わたくしの婚約者でありこの国の王太子でもあるカイザル・ユリウス・レオポルト殿下が先ほどから何を言っているのか全くもって理解が出来なかった。
まだ夢であると言われた方が信じてしまう位には。
「そ、そんなっ!? わたくしは何も悪行など行っておりませんわっ!! 今一度調べて下さいましっ!!」
「フン、もう少しマシな言い訳でもしたらどうだ?それに新たに俺の婚約者となったメアリー・ジューンがお前に嫌がらせを幾度も受けたと言っているのが何よりもの証拠であろう」
「そんなっ!? 何かの間違いですカイザル殿下っ!! わたくしは聖女メアリーに対して嫌がらせどころかほとんど接点すらございませんでしたわっ!!」
そもそも聖女メアリーは半年前に光の魔法である聖魔法を扱えるようになった只の平民であるし学年は、二学年であるわたくしの一個下である一学年である。
貴族の娘ならばいざ知らず、貴族でもなければ同じ学年でもない上に最近になって表れたメアリーとの接点などあろうはずがない。
「証拠は?」
「………しょ、うこ?」
「その証拠は何処にあると言っている。それとも聖女であるメアリーが嘘を吐いているとでもお前は言うのか? 聖女に対して嘘吐き呼ばわりとは………、不敬罪で囚われ裁かれても致し方ないよな?」
「そ、その様な訳では………」
「ならばいちいち口答えをするな」
「ぐっ………」
聖女。
我がドミナリア王国で聖女というのは特別な意味を持っており、いくら公爵家の娘のわたくしと言えども聖女という称号を与えられているメアリーの方が上の存在であり、王族のみが同等の立場とされている。
そしてこのメアリーなのだが数百年ぶりに現れた聖魔法の使い手であった。
今まで聖魔法の使い手など数百年間も現れなかった癖に、何で今になって現れたのか。
もう少し早く、または遅く現れてくれればこのような事には起きなかったはずなのに。
そして何故聖女メアリーはわたくしの事を悪く言うのか、その理由も分からない。
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