第三話

たまに入る出張。


先輩に促され取引先へ向かう道すがら、思わず息を飲む。

細身の身体に赤味がかった髪。

束ねていたあの頃よりもスッキリと短く、特徴的な顔立ちが一層際立つ。


反対の歩道から迷いなく声を張る。

何度目かで立ち止まったかと思えば、スマホを操作。


届かない。

俺の声は結局届かない。

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