第96話 合否が心配ですが何か?
リューの面接は無事?終わった。
別の面接官に振り分けられたリーンも無事終えた様だ。
終わってみると、王家の推薦状があった事を確認できた最後の面接だけが手応えを唯一感じる事になった受験であった。
リーンは全体的に感触は良さそうなので、合格もありそうだが、自分は難しいかもしれない。
あるとすれば、王家の推薦状の威力次第だが、王家に気に入られて本命だった次男ジーロではないので、どこまで効果があるのか未知数だ。
…くっ、推薦状頑張れ!
完全に他力本願のリューであった。
受験が無事?終わった事を、ランドマーク領の屋敷で父ファーザは直接本人から報告を受けた。
母セシルも一緒に聞いている。
「……そうか難しかったか、まあ、王立学園がそんなに甘くないという事だろう。仕方ないさ。どうだ?来年も受けてみるか?」
「え?」
「リーンは手応えがあったのなら、来年、二人で合格という可能性もあるだろう。リーンだけ合格しても行くつもりはないだろうし、二人でまた、来年受けてもいいぞ。それとも、シーマ、ジーロと同じスゴエラの街の学校に行くか?」
父ファーザは、リューとリーンのこれまでの努力を知っているので、後悔はして欲しくなかった。
それに、リューはランドマーク家一の神童だと家族みんなが思っている。
その可能性を思う存分発揮させてやりたかった。
「……わかったよ。今年落ちてたら、来年また受けるよ!そして、今度こそ合格する!」
「そうよ、その意気よリュー!」
リーンもリューを励ますのだった。
「という事で、来年の受験の間までは王都とランドマーク領を行き来して、王都進出の為の作業に従事します」
リューはもう、不合格を前提に行動する事にした。
合格発表は1週間後なので遠方からの受験生はその間、王都に滞在する。
だが、一旦、御者と領兵と隊長のスーゴは『次元回廊』でランドマーク領に帰って貰った。
馬車もリューのマジック収納で回収した。
なので、宿屋も引き払った。
そして、ランドマークビル(仮)を拠点にリュー達は、王都進出の為の作業を始めた。
毎日、『次元回廊』を使って、職人達はランドマーク領から、王都のビルに通っている。
「作業が終わったら、王都観光していいかいリュー坊ちゃん?」
「あ、俺も、観光したい!」
「俺は王都の木工通りで仕事道具見てみたい」
「まずは観光だろ?折角王都まで来て仕事道具の物色すんなよ!」
内装工事をしている職人達から、笑い声が漏れた。
「わかりました。内装工事が終わったら、一日、自由時間を設けますので、好きに観光していいですよ。終わったらここに集合すればいいですし」
「「「やったー!」」」
職人達は喜びに沸いた。
「家族に王都のオシャレなお土産買って帰るべ」
「だな。子供に王都のかわいい服をお土産に買っていくか」
「おいおい、お前のセンスで子供喜ぶんか?」
「ちげぇねぇ!それを忘れてたわ!」
「「「ははは!」」」
現場は笑いに包まれつつ、作業ははかどるのであった。
合格発表までの一週間は充実したものだった。
ランドマークビル(仮)の一、二階はランドマーク領の商品を扱う商人に対しての貸店舗の予定だったが、父ファーザが王都で会っていた知人から直営店を出してはどうかと提案されていた。
天井が高い一階の店舗は『乗用馬車一号』や、『リヤカー』、『手押し車』等の販売店にし、二階のいくつもの店舗スペースはランドマーク領で主食になっている麺類や、甘味を扱う飲食店、もちろん、『コーヒー』も飲める。
その『コーヒー』を卸す店舗や、『チョコ』の持ち帰りできる販売店舗も出店する。
父ファーザの知人は現在商人を細々とやっているらしく、王都進出するならわざわざこっちの商人と契約して、間の手数料を取られるより、直営店にして王都価格で販売すれば品質も、知名度も上級貴族の間では有名になっているので、失敗はしないだろうと言ってくれた。
そこで、一枚噛ませろと言わないので、商人としては二流なのかもしれないが、信用は出来そうだ。
リューは父ファーザに、こっちのランドマークビル(仮)の全体的な管理をその人に任せてはどうかと提案した。
父ファーザも同じ事を考えてたらしく、頷くと知人である商人に責任者になってくれる様に依頼した。
最初その知人は断っていたが、強くお願いすると祖父カミーザに恩があるからと渋々承諾してくれた。
合格発表前日の夕方。
ランドマークビル(仮)は内装工事が完成し、(仮)が取れて、晴れてランドマークビルと命名される事になったのだった。
※某世界に数多くある同名ビルとは一切関係ありません。
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