第132話 かわいいとも思うけど……

 一昨日の雨が嘘のように上がった、昨日、水曜日。この日は、前日よりも10℃くらい気温が上がるらしいと朝の天気予報でも言っていた。

 窓の外は、快晴の、鮮やかな青空だった……。



 大学に向かう、いつもの時間。

 この家で、一緒に暮らす彼が、わたしを呼び止める。


「ひな(仮名)? その格好で行くのか?」

「え? なんかおかしい? かわいくない?」

「おかしくはないけど……、うん、かわいいとも思うけど……」

「なんだよ? はっきりしないなぁ」


 煮え切らない態度の彼。イライラしてくるわたし。


つかさくん(仮名)が言い渋ってる理由を簡潔に述べなさいっ!」


 盛大な不満顔を浮かべ、腰に手を当てる。その体制のまま、下から(身長差のために仕方がない)上目遣いで睨みつけたら、白状に至った。


 この時の、わたしの格好は、Tシャツの上から、わたしの誕生日に彼から貰った(譲り受けた、強奪したとも言う……)彼の(今はわたしの)パーカー、下はデニム地のミニのタイトスカート(膝上15センチだ!)に生足。サンダルを合わせようと思っていた。



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 彼の言い分は、『スカート、みじかすぎないか? 足、出しすぎじゃないのか?』だった。


『誰も、こんな子どもっぽい体した子なんて相手にしないって……』などと、彼を納得させ、外に出た……途端、意外と冷たい北風に、部屋に舞い戻った。


「ストッキング履いてくるから、ちょっと待ってて!」


 わたしのかわいいは、寒いには勝てなかった。

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