第110話 そういうの、嬉しい!
わたしの受験が終わった次の日。今週の月曜日のお話である。
先週の木曜日に連れていかれた、格式高い『割烹』とは正反対の雰囲気の、Mのマークのファストフードの店内である。因みに、彼とふたりきりである。
あ、彼……とは、現在、リアルの世界で、わたしがおつきあいしている、
とにかく、前日、前々日と行われた試験、彼なりにがんばったようだ。目の前にニンジンぶら下げられたら、がんばっちゃったウマを見た気分である。
結果は、ボーダーラインがわからないから、なんとも言えないけど……。合格してるといいよね。
学校帰りにふたりきりで、こういうとこに寄るのは初めてだったりする。いつもは友人たちが一緒だから……。
わたしの正面に座る彼が話しはじめた。
「ひな(仮名)は良かったのか? 俺とルームシェアするとか?」
「同棲だよ♡」
「ど、同棲っ?」
「そう! 同棲。司くんこそ、良かったの? 大学で知り合った、かわいい彼女とか連れてきたかったんじゃない?」
「そんなことねぇっ! どうして、ひながいるのに、そんなことしなきゃいけないんだ?」
「最近、随分、ハッキリ言うようになったね。そういうの、嬉しい!」
「言わなきゃわかんないだろ? 他のヤツに取られたくないんだよ。ひなはもちっと、自分が超優良物件なこと自覚してくれ!」
彼の言葉が嬉しくて、思わずにやけてしまった。
これは、わたしと
捻りもオチもないけど、
「ホントはね、司くんの本命に、わたしが一緒に通う前提だったの。だから、お父さんたちが考えてくれたことなんだ」
「ひなが一緒に通う前提?」
「そ! わたしも◯◯(彼の本命)受かってるからね」
彼の目が、点のようになってた。
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