第19話 なにをしたの?

 これは、二年生最初の定期テストが終わった翌週の出来事。つまり、つい最近のこと……だったり。

 みんな、返却された採点済みのテストを見ては、一喜一憂している。


 わたしの前の席に座ってる、美亜みあちゃん(仮名)や、更にその前の席の真琴まことちゃん(仮名)、わたしの隣の隣に座る莉緒りおちゃん(仮名)は、余裕があるように見えた。


 渡瀬わたらせくん(仮名)を含めた男子三人も、概ね、成績は良かったようだ。渡瀬くんなんて、泣きながら、わたしにありがとう……とか言ってきたし。



 しかし、テストの返却が、ほぼ終わった水曜日のお昼、わたしは担任に呼びだされた。


浅葱あさぎさん、ちょっと、話したいことがあるから、先生とお昼一緒に食べようか……」


 先生からの進路指導おまねきに戦々恐々としながらも、教員室のドアを開けるわたし。

 準備室として使われてる奥部屋に案内される。担任はお茶までだしてくれて、暫くは、わたし自作のお弁当の話で盛りあがってた……のに。


「ところで、浅葱さん? あなた……、なにをしたの?」

「なにを……って、なんですか?」

「渡瀬くんたちの、テストの伸び方が異常すぎるって仰る先生が数人いるのね」



__あぁ、疑われちゃったのかぁ。

 そんなことしないっ! って、断言したわたしに先生も頷いてくれた。疑った先生たちへは、全力で否定しておくって言ってくれたから、先生にお任せすることにした。

 わたしがやらないといけないことは見えたけど、そのお話は機会があったら……かな?



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 ところで、渡瀬くん! きみは、もちっと、普段から勉強しとこうよ。話の流れから、べた褒めしなきゃならなかったんだぞ。

 次回は、高校一年編ちょっとまえのおはなし。この時は、顔、真っ赤にしてたクセにぃ。

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