夜想曲
父の病院から帰り着いた頃に
電話がかかってきた
「お別れの時がいよいよ迫っているかもしれません」
泊まりがけで付き添えるように
簡単な着替えだけ持って病院へと向かう
ホスピスの畳の家族控え室に荷物を置いて
病室に行って父の手をそっと握ると
父は薄らと目を開けた
もう話しはできなくてもその手は温かい
命の炎は消えていないのだ
父はまだ此処に居る
手を握ればこうして握り返してくれる
病室にはショパンの
微かに流れている
わたしは幼い子供のように
駄々をこねたくなる
まだ、ねぇ、もう少しだけお願い
父はまだ此処にいる
父の魂は此処にいる
いかないで、おとうさん
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます