都合によりけり
勝利だギューちゃん
第1話
「今日はやけに寒いな」
そう思いカーテンを開ける。
寒いはずだ。
雪が積もってる。
このあたりでは、珍しい。
子供の頃は、雪が好きだった。
でも、高校生になると、はしゃぐ歳でもない。
「高校生は、大人」と言う。
いつも、幼馴染の女の子に言われる。
昨日も言われた。
なら「大人は火の子」だ。
それなら、ぬくぬくしていよう。
僕は、布団にくるまる。
温かい。
今の僕は、布団が恋人だ。
離してくれない。
いいんだよ。
いつまでも、君と一緒だ。
でも、ありきたりな展開が起きそうだ。
階段を駆け上がる音がする。
聞こえない。聞こえない。
ドアが開く。
やはり、お越しになられた。
「こら!起きろ」
騒がしい女の子だ。
まあ、元気があっていいが・・・
「外は雪だよ。銀世界だよ。いい若い者が遊ばなくてどうする?」
「若い者でも、寒いのは寒い」
幼馴染の女の子。
名前は・・・いいや、言わなくて・・・
「子供のは、風の子。外で遊ぶものよ」
「僕は、高校生だ。もう大人だよ」
「高校生は、まだ子供。なので、風の子。外で遊ぶの」
「昨日は、『高校生は大人だ』とか、言ってなかったか?」
都合により、大人扱いしたり、子供扱いする。
わがままだ。
「いいから行くの」
「布団が離してくれません」
「じゃあ、私が布団と話す」
ごそごそ
「連れてっていいって」
「やだ」
「とにかく、行くの。早く着替えて・・・って、服のまま寝たの?」
「パジャマは寒い」
「なら、手間は省けたね。レッツゴー」
手を引っ張られる。
覚悟しておいたほうが、よさそうだ。
都合によりけり 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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