陽キャラくんは頑張っている

ゼロC

第1話


 俺こと八代 照史(やしろ あきと)は陽キャラである。

 クラスでも男女問わず、友達がいるし、部活動も、サッカー部のエースで運動神経も抜群、学力も、テストで学年の一桁には入ってるぐらいに高いし、容姿端麗で服装やファッションにも気を配っている。

 まさに完璧人間なのだ……なのに


「なんで、あいつだけ…」


それは同じクラスの倉見 颯太 (くらみ そうた)。

そいつはクラスでも常に一人で、部活動にも所属しておらず、頭もあまりいい方ではない、髪の毛は寝癖がありぼさぼさ、言い方は悪いが陰キャラというやつである。


        なのに


  そいつは俺よりモテているのである

 

 



      あいつは主人公


「おはよー」


 俺はいつものように挨拶をし、クラスに入る、周りも「おはよう」と返事を返してくれる。

 席に着くと仲のいいメンツが周りに集まってくる。


「昨日のドラマ見た?」


「見た見た!最後のあれよかったよね〜」


(今日の話題は昨日見たドラマか…)


「照史はどう思った?」


「ああ、最後に告白するとするところ、めちゃ感動したな」


「だよね〜」


 その日、話の話題に出てきそうなドラマやバラエティ、全て見るようにしている。


(もし見てないとかだと、その場の空気が悪くなるからな、そのために全ての番組を録画してるからな、まぁそれを全然見るのに朝の4時ぐらいまでかかるけど、どんな番組を聞かれても、答えることができるぜ!)


「じゃあ、あの動画は?見た?」


(え?)


「あーあれでしょ?あのダンスのやつ」


(動画?ダンス?なにそれ?)


「そそ、照史も見たよね?」


「…すまん、見てない」


「あ…そうなんだ」


(やべぇ、空気が少し暗くなっちまった。どうっすかな、そうだ!陽キャラの神様助けてください!)


 説明しよう!陽キャラの神様とは陽キャラくんが困って助けを求めた時、現れる陽キャラの神様なのだ!


( 「どーしたんだ、照史」


「神様!話題についていけずに、場の空気が悪くなってしまいました!どうすればいいですか!」



 「そーゆう時は、それに興味があることを   気持ちを持っているということを相手にちゃんと伝えることが大切だぜ!」


 「興味があること、伝えるか、んー」 )


「あ!俺も興味だから、どんなんか教えてくれよ!」


「う、うん、これなんだけど」


女性が踊る動画を見せてくれる。


「確かに!ダンスとかあんま詳しくねぇけど、曲も含めて、すげぇかっこいいな!」


「でしょ!めっちゃかっこいいよね!」


 そして盛り上がりを取り戻すことができた。


(ふぅ、なんとか乗り切った。


 「陽キャラの神様のおかげで乗り越えることができました!ありがとうございます!」


 「相手が降ってくる話題に対して「うん」や「そうなんだ」など、会話が続かないような返しではなく、「だから、どうなったの?」や「これとかも、面白いよ」と次の話に繋げることのできる、返しをすることで、会話も盛り上がり、楽しく話せると思うぞ!」


 「わかりました、参考にします!」


 ガラガラッと教室のドアが開かれ、倉見が入ってくる。

 そして挨拶をすることもなく、そのまま自分の席に着き、カバンからケータイを取り出し、そのままゲームを始めた。


(挨拶ぐらいちゃんとしろよな…感じ悪いやつ)


ゲームをしている倉見に一人の女子が近づいていく。

 彼女の名前は、天海 愛(あまみ あい)同じクラスで性格は明るく周りにも優しい、容姿も可愛いく、人気がある。


「おはよー倉見くん、なにしてくるの?」


「えっと、ゲームだけど?天海さん何か用?」


(その言い方はないだろ…女子方からが話しかけてくれるってのに)


「特に、用ってこともないんだけど…倉見くんがなにしてるのかな?って気になってさ」


「俺なんか、なんで気になるんだよ」


「なんでって…好きだからだよ」


「え?」


(え?)


「冗談だよー」


 彼女は笑顔で答える


「な、なんだよからかうなよ」


「何?本気にしちゃった?」


「てか、そんなしょうもないことを言うために話しかけたのか?」


「うん、まぁ声が聞きたかったってのもあるかな」


「声?別に俺の声はかっこよくないぞ」


「かっこいいとかじゃないよ、ただその声が好きなだけ」


「俺の声が好き?物好きだな」


「そうだよー、そんな物好き私以外にいないよ…だから、私と付き合っちゃう?」


「だから、好きとか冗談やめろって」


「冗談じゃないんだけどな…」


「ん?何か言った?」


「んーなんでもない」


 天海は自分の席へ戻っていた。


(なんだよ、あの甘々な会話、聞いてて口から砂糖出るかと思ったわ。てかなんでこんな奴があんな可愛い子にモテるんだよ、俺の方が人一倍努力してるのに…)


そして俺の前にまた陽キャラの神様が現れる


( 「それはな、あいつがこの物語の主人公だからだよ」


「主人公?どう言うこと神様」


「主人公とは能力、容姿、状況全てが味方なるだよ、だから、大抵の美人や可愛い女子たちはあいつに惚れちまう。いくら容姿端麗でも、頭脳明晰でも、勝つことはできない。」


「じゃあ、どうすれば…あ!あいつと面識のないような女子ならーー」


「いや、それも不可能だ。主人公とは、些細なことで女子たちを惚れさせることができるんだ。例えば、街中で男たちに絡まれているのを助けたり、落とし物を拾って届けたりすると、それがきっかけとなりいずれ惚れてしまうんだ。」


「そんなの……まるでウイルスじゃないか」


「諦めるんだ、それが主人公なのだ」


「そんな…」


そして陽キャラで不幸の俺がこんな世界で頑張っていく。



     そんな青春物語である





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