第17話

     罪深い女 罪深い男


大田原秀彦は、大手電気メーカーの営業部門に

勤務する三十二才。イケメンでスポーツマン、

とくれば当然、女にもよくモテた。

「今夜はきみと忘れられない夜にしたいな」

なんて甘いセリフ口にしながら今まで何十人

もの女をモノにしてきたのだった。

「大田原さんってさぞモテるんでしようね」

キャバクラのナンバーワン、アリサが大田原に

しなだれかかって耳元で囁きかけた。

「きみこそモテるだろう。なんたってナンバーワン

なんだから」

大田原がそういうと、アリサは大田原から

体を離し、水割りに口をつけた。

「ところがそうでもないのよ。お客さんはみんな

わたしの体だけが目当てなの。わたしのことを

心から好きになってくれる人なんて誰もいないわ」

アリサが淋しそうな目になった。


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