第636話 シャーロットから説明を
「……といことで私たちは王都で暮らしているってことになるのかしら?」
シャーロットはとりあえず大きく二つのことを説明した。
一つ目はシャーロットがミナトの第一夫人であることに加え、デボラ、ミオ、ナタリアといった世界の属性を司るドラゴンの長がミナトの第二、第三、第四夫人であること。
二つ目はミナトの能力(
ナタリアの正体に薄々だが気づいているマリアベル相手にシャーロットはミナトの能力に関することは最小限にしつつ彼女たちとの出会いを説明したのであった。
マリアベルの顔面は聞かされた驚愕の事実により既に蒼白となっている。しかしシャーロットの説明はやっと半分が終わってといったところだ。そしておそらくだが後半の方がインパクトが大きい。
「驚くのが早すぎよ!そして彼女がオリヴィア。ミナトの執事兼愛人といったところかしら?あなたなら分かるでしょ?」
それ以上は追求するなと言いたげなシャーロットの言葉にコクコクと全力で首を縦に振るマリアベル。
『オリヴィアがフェンリルであることに関して明言を避けてる……?』
どうやらシャーロットには何か意図があるらしい。そう感じたミナトは黙って様子を伺うことにする。
「そしてピエールちゃんね」
ソフトボールくらいの青く可愛いスライムモードのピエールをそのまま紹介するシャーロット。その正体はマリアベル達を恐怖で卒倒させることも可能なほどに恐れられているエンシェントスライムであることも秘密にするらしい。
「ス、スライムとはまた可愛らしい魔物を連れておられる……」
そう呟くマリアベルも消耗しているが両サイドの護衛らしき二人が当惑の表情を浮かべている。
「シャーロット様、一つお教え願いたいですじゃ」
シャーロットの説明は一段落したと考えたのかマリアベルが言ってきた。
「何かしら?」
「その者……、ミナト殿と申されたか……、かつての魔王を凌ぐほどの闇魔法の使い手と世界の属性を司るドラゴンを三種も集めシャーロット様は何をなさるおつもりですじゃ?」
「え?」
「や、やはりこの大陸に覇を唱えるおつもりで?」
「はい?」
シャーロットの鳩が豆鉄砲を食ったような表情とマリアベルの恐怖に慄いた表情が交差する。
そのまま数秒が経過し……。
「マリアベル。あなた何か勘違いしているわよ」
そう言い放ったのは美人のエルフである。
「勘違いですか?」
「そ、いろいろとね。まず初めに!」
ビシッと指を天井へ向けるシャーロット。ちょっとイタいポーズ見えるがここまでスタイルのよい絶世の美女がやるとちょっと絵になるから不思議である。
「私は何もしていない。私はただミナトの隣にいるだけ。他のみんなもおんなじよ。ただミナトの側で退屈しない楽しい日々を楽しんでいるだけだわ。主に王都を中心として……、ね!」
そうして笑顔を向けられたのでしっかりと頷いて肯定するミナト、ナタリア、オリヴィアの三人。ピエールはミナトの肩の上へと移動してふよふよと揺れている。
「それと私を中心に据えたような言い方はやめてよね。私たちF冒険者パーティ『竜を饗する者』のリーダーはミナトよ。そしてミナトは私のパートナー。私はミナトが望むことなら基本的に全て叶えてあげたいと思っているわ!もちろんミナトが『王都を更地にしてくれ』って頼んできたら止めるけど……、たぶん」
驚愕の表情となったマリアベルがそれはそれは恐ろしいものを見た時の視線をミナトへと送ってくる。
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、そんなことは言わないからね?」
とりあえず大事なところは否定しておくミナト。
「
ビクッと反応するマリアベル。
『そういえばシャーロットは夫人と紹介したけどテイムとは言っていない』
ふとそんなことを思うミナト。
「シャーロット様、冗談が過ぎますじゃ。不肖ながらこの儂も二千年前の大戦の中心にいた一人。シャーロット様が伝説の魔法である
『いろいろと知っているんだ。二千年前から生きているっていうにはやっぱり本当なんだね』
「ふふん!ミナトを甘く見ないで欲しいわね。間違いなくナタリア達はミナトにテイムされているわよ。理由はただ一つ!ミナトの力が私の
シャーロットが嘘を言っていないということを本能的に理解したのだろうか、本日何度目かの驚愕した表情のまま固まるマリアベル。
「分かったかしら?ミナトは私よりも凄いのよ?」
そう言ってビシッとっとポーズを決めるシャーロットであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます