第547話 やっぱりステータスを確認します
「やっぱり楽しみよね?これまでの時と同じだと世界の属性を司るドラゴン以外をテイムした時って種族はそのまま、保有魔法は増えないって感じだけど……、ステータス!オープン!!」
シャーロットの美しい声が響き、それと同時にミナトの前に透明なプレートが出現する。そこには次のような表示があった。
【名 前】 ミナト・ホシノ
【年 齢】 二十一
【種 族】 まだギリ人族
【攻撃力】 一〇〇
【防御力】 一〇〇
【俊敏性】 一二〇
【保有スキル】 泰然自若 火竜を
白狼王の飼い主 暴食王の飼い主 暗黒騎士の主君 不死者を統べる者
【保有魔法】 闇魔法 Lv.MAX
転移魔法 Lv.SP
眷属魔法 Lv.SP
収納魔法 Lv.SP
重力魔法 Lv.SP
「……やっぱり種族はそのままで保有魔法は増えていない……、ここまでは想定通りだけど……」
変わってはいないとはいえ種族の表示にはいろいろと言いたいこともあるのだが……。そして念のために眷属魔法の詳細を確認する。
眷属魔法
こちらも増えてはいなかった……。
種族と保有魔法……、とりあえずその二点を確認し胸を撫で下ろすミナト。
だが、
「そしてやっぱりここが増えている……」
視線を上げて注目するのは【保有スキル】の欄。きちんと一つ増えており、新しいスキル名が視界へと飛び込んできた。
「ミナト?」
「うむ。【保有スキル】が増えたのであろう?」
「ん。もっと強くなった?」
「あらあら~?」
「マスター!おめでとうございます!」
「新しいスキルを得たのデスカ〜?」
「実に興味深いことだな!」
シャーロット、デボラ、ミオ、ナタリア、オリヴィア、ピエール、ロビンの七人が興味津々の様子でニコニコ顔を浮かべて近付いてくる。ファーマーさんは遠慮しているのかミナトのスキルを確認しないらしい。
そしてフィンとアンデッド騎士団は静かに佇んでいる。
「みんな……。ステータヲドウゾ……」
いつものように観念したミナトがそう言って彼女たちがステータス画面を覗き込む。
「今回は『不死者を統べる者』ね。今回も聞いたことがないスキルだわ。これも恐らくこの世界に初めて現れたスキルだと思う」
シャーロットがそう感想を言ってくる。
「ミナト!詳細を見てみましょう?」
美人のエルフにそう促されたミナトはステータスが表示されているプレートの【保有スキル】に触れた。途端に画面が展開される。
【保有スキル】泰然自若:
落ち着いて、どの様な事にも動じないさまを体現できるスキル。どのようなお客様が来店してもいつも通りの接客態度でおもてなしすることを可能にする。
【保有スキル】火竜を饗する者:
火竜を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
眷属化した火竜の能力も限定的に使用可能。
火竜を
テイムスキル【火竜を統べる者】の上位互換。
【保有スキル】水竜を饗する者:
水竜を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
眷属化した水竜の能力も限定的に使用可能。
水竜を
テイムスキル【水竜を統べる者】の上位互換。
【保有スキル】白狼王の飼い主:
白狼を自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
身体強化魔法の性能を圧倒的に向上させる。上限はなし。強化の度合いは任意。
強化しすぎると人族では肉体が瓦解する危険があるので注意。
種族が人族であるときは気を付けましょう。
【保有スキル】暴食王の飼い主:
エンシェントスライムを自身の眷属として相応しい形で強化し従わせる。
肉体的な変化はありませんが、進化したエンシェントスライムがあなたの相棒として意のままに行動します。
ドラゴンでも始末に負えないとされる最強のスライム、さらにその進化版を自在に操るという凄まじさと楽しさをその身で体感してください。
【保有スキル】暗黒騎士の主君:
あ、人族である場合は身体強化をお忘れなく。非常に苛烈な剣技のため自身の身体が保てない恐れがあります。
そこに居並ぶのは非常に強力なスキルの数々。そしてそこに新たに加えられるのは……、
【保有スキル】不死者を統べる者:
肉体的な変化はありませんが瘴気を扱うことが可能になります。放つ瘴気は魔法とは判定されません。瘴気は生命ある者に深刻な影響を与えることができます。どんな環境でも使用することが可能であり大気に放出することも水に溶かすことも、威力の調節も可能です。威力を間違うと周囲の環境に深刻な影響を与える可能性があります。また耐性が低ければ瘴気は貴方にも影響がありますのでくれぐれもご注意を。
まだギリ人族であるはずなのにとても人族とは思えない行為を可能にするスキルにガックリと膝をつくミナト。
「このスキルをどうしろと……」
そう呟くのが精一杯。
「……なんていうかとんでもないスキルね。でも魔法って判定されないってことは戦いの幅が広がったんじゃないかしら?」
シャーロットはそう言ってくれるが、
「いやいや……、これって人族が使っていいのかな?」
「アンデッドの騎士団を配下にしたんだし、そういう意味では相応しいんじゃない?魔王として!」
「うむ。流石はマスターといったところだな!」
「ん。魔王さま!」
「あらあら~?」
「流石です……」
「魔王サマ~」
「我が剣は生涯魔王様のものである!」
シャーロットの言葉にデボラたちが反応する。みんな嬉しそうだがミナトの心はものすごく複雑だったりする。
「魔王ではないんだけど……」
なんとか立ち上がって精一杯そう呟いてみるミナトだが……。その前に魔物の姿に戻ったフィンとその配下のアンデッドたちが改めて跪いた。
「我ガ剣ト我ガ配下ハマスタート共ニ!」
「ミナト!フィンたちがミナトの言葉を待っているわ!」
シャーロットに促されてフィンたちの前へと立つ。
『この世界の全てを楽しむって決めたからね……』
その思いを心に抱きつつ、
「そう言えばフィンたちの騎士団って名前ってあるの?」
一つの疑問が浮かぶミナトであった。
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